玩具箱
□プロローグ
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立海大附属中学。
そこのテニス部は、学校の人間にとって、アイドルの様な存在だった。
格好良くて、テニスが上手い。特にレギュラーに至っては、学校内でファンクラブが出来る程の人気を誇っていた。
ファンクラブ、と一言で言っても、それは端から見れば異常さが伺える組織だった。
テニス部に近付けば、ファンクラブから制裁という名のリンチ。死人こそ出ていないものの、それを原因に転校した生徒は何人も居た。
テニス部はそれを知り、何時しか女性に対して嫌悪を抱く様になった。
ファンクラブはお互いを牽制しあい、テニス部はファンクラブに近寄らなかった為、ファンクラブとテニス部は、割と上手い事均衡を保っていた。
そんな均衡を、破る者が、立海に現れた。
「初めまして!夢野 姫です!よろしくね!」
夢野 姫。
彼女はテニス部に近付いた。
最初は嫌がっていたテニス部も、ファンクラブの人間とは違う姫に、徐々に虜になっていった。
当然、そんな事を許したままの筈もないファンクラブは、姫に制裁を与えた。
しかし、それがいけなかった。
テニス部が、姫に制裁を行われた事を、知ってしまったからだ。
今まで、お互い最低限関わらない事で成り立っていた均衡が、壊れたのだ。
テニス部はファンクラブから守る為、姫をマネージャーにして、常に傍にいた。
ファンクラブはもはや打つ手はなかった。
しかし、このまま退いてあげる程、優しくはなかった。
「…あの人に頼りましょう」
「か、会長!しかし、それは…」
「他に手があるって言うの!?…私とて、本当は嫌なのよ」
ファンクラブは、動き出す。
物語は、こうして始まる。