私と親友。
□2話
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仁王との接触には、成功した。
実を言うと、凄い緊張した。だって、彼は詐欺師と呼ばれる男。普段、特別嘘をつきなれていない私が、果たして彼と不自然じゃなく接触できるだろうか。そればかりを考えていた。
仁王のタイプは、愛美の持っていた公式ファンブックでなんとなく把握はしていた。
ファンブックと照らし合わせ、プロファイルしてみた結果、彼は天の邪鬼じゃないのかなあ、と思った。
例えば、人が○と言えば自分は×を選ぶとか。そんな感じで彼は、自分に関心の無い人に、関心を抱くんじゃないのかと考えてみた。
結果を言えば、多分当たっていたんだと思う。彼は、最初の接触であからさまに嫌悪を私に示してきたので、軽く悪口を言って興味が無い風を装えば、予想以上の反応を見せてくれたし。特に関心の無いことをアピールしたら普通に話しかけてきた。
まずは、接触を持てればいい。別に私は、好きになってもらう必要はないんだ。関わることに意味があるのだから。
そう、だから私は次に、彼と接触しなければいけない。
「仁王ー、数学次当たるんだよぃ。教えてー」
「なんじゃブンちゃん、また宿題やらんかったんか」
丸井 ブン太。
おそらく漫画では明るかった彼だ。仁王よりは難易度は低そうだが、油断は出来ないんだろう。
「ああそうだ、仁王君。教科書見せて貰えるかしら」
「なんじゃ水無月。まだ貰っとらんのか」
「そうなのよ。不便よね。で、頼めるかしら」
「構わんよ」
次の授業に備えて仁王と席をくっ付ける。
「…めずらしーな」
「何がじゃ」
「仁王が女に優しくすんの」
関わるなら、今だ。
「あら、優しいとも言えないわよ。仁王君、初対面の私に他を頼れ、って冷たく言い放ったもの。ね?」
「うわ、ひっでー」
「おい水無月、余計な事言うんじゃなか」
ここから関わっていきたい。…あまり時間はかけたくない。
「そこの赤髪の彼は、なんていう人?」
「俺?俺は丸井ブン太。シクヨロ」
「シクヨロ?あはは、変な挨拶ね。水無月霙よ。よろしくね」
さて、どうしようか。