私と親友。
□2話
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単純な好奇心。それに限る。
テニス部でも一番の女嫌いの仁王が、仲良しとまではいかずとも普通に接する転校生。
あの頑なな仁王と、僅かあのホームルームの5、6分でここまで親密になれる女。
人一倍好奇心が強い俺は、相手が話しやすいシチュエーションをつくって、誘導尋問の様な事をしてみた。こいつは仁王に何をしたのか。どうしても気になる。
そうしたら転校生は最初の仁王は酷かったと笑っていて、仁王も気恥ずかしそうに肯定していた。違う。そこからどうやって仲良くなったのか、その経緯が知りたかったんだ、俺は。
「丸井君は、仁王君と仲良いの?」
「あー、まあまあじゃね?部活が一緒だからな」
「へー、そうなの」
急に良い考えが浮かんだ。俺は思わずにやりと笑みを浮かべた。
「なあなあ、水無月」
「何かしら」
「俺お前の事気に入っちゃった!ブン太って呼べよ。俺も霙って呼ぶからさ!」
仁王は俺の思惑に気付いたのか、呆れたように見つめる。でも止めない所を見ると、どうやら仁王も水無月の反応に興味があるらしい。
【いつもの女なら】、喜んで俺の提案を受け入れる。
水無月は、【いつもと一緒】なのか、【違う】のか。
「…嬉しい提案ね。転校したての私には、とても魅力的な」
「………」
「遠慮するわね。そこまで、安売りはしてないのよ、私」
「「!」」
ドキッとした。自分の思惑に気付かれたように感じてしまう。水無月の瞳は、真実を追及するように鈍く光る。
「まあ、なんて呼ばれようとどうでもいいから、貴方が私を何て呼ぼうがどうでもいいけど、私は遠慮しとくわね」
そう言って別の女子のもとに行ってしまった。
「負けたのう、ブンちゃん」
「…うるせぃ」
「で、感想は?」
「………」
予想外だった。
自分の思惑を見破られた上で、更になめられた。悔しい気持ちになった。
「まあ、ミーハーとは違うみたいじゃのう」
「……ああ」
そう、奴はミーハーじゃない。それは、確信を持って言える。でも、なんか、【普通】とも違う気がする。俺はこの時、何だか分からない感覚を水無月におぼえた。