Final Fantasy

□夢は夢
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はっと気付けば戦場に立っている自分。
回りで聞こえるのは爆発音やモンスターの咆哮。

これは…夢?

辺りを見回せばザックスも戦闘中。

「ザックス?」

ザックスに近付くことしか頭になくて、俺は向かってくるモンスターの存在に気付いていなかった。

「クラウド!!」

振り向いた時にはすぐそこにモンスター。
避けきれない。
そう覚悟した瞬間、何かに突き飛ばされた。
受け身をとって体を起こす。

目の前にはザックスの背中。
モンスターの巨大な爪が突き出した、真っ赤な背中。

嘘、だろ?

「ザッ…クス……?」

爪を引き抜いて倒れたザックスの側に行きたいのに、足に力が入らない。
体を引き摺るようにして、すぐ側まで行った。

「ザックス!」

体を仰向けにさせれば、ゆっくりと目を開けた。

「…無事で……良か、った…」

俺の頬を撫でたザックスの真っ赤な手が、重力に逆らえず力なく下ろされる。

「なんで…ザックス……ザックス!!」



勢いよく体を起こした。

「……大丈夫か?」

背後で声がして、驚いて振り返る。

「……ザックス…?」

そこに居たのは、恐らくまだ戻ってきたばかりだろうザックスの姿。

「魘されてたみたいだけど…起こそうと思ったら先に飛び起きたから……」

俺は何も言わずにザックスを抱き締めた。
ちゃんと抱き止めてくれるこの存在に安心する。

「変な夢でも見た?それに、こんなとこで寝てたら風邪引くぞ?」

苦笑混じりの声。

「…俺は、クラウドが居る限りここに帰ってくるから。だからさ、帰ってきた時はいつもみたいに抱き締めてよ」

まるで夢の内容を知っているかのような、俺の無意識な心配事を見透かしたかのような言葉に、俺はただ頷くしか出来なかった。




「遅くなってごめん…ただいま」

「………おかえり」




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