オリジナルBL

□退屈症なネコ
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「いやぁ、ついでに人助けもしてきたから遅くなっちゃって」

助けたのは本当だ。流れで仕方なくだったが。
しかし助けて帰宅時間が遅くなったというのは嘘だ。あいつらの制裁が終わるまで観察する予定だったから、実際はもっと遅くなる予定だった。
そうなるともっと怒られてたわけだから自分の失敗に救われた事に喜んで良いのやら、明日から暇になる事に悲しんだら良いのやら。

「どうせお前の事だから助けたのは流れでなんとなくだろ」

あら、バレてらー。

「で、誰を助けたんだ?」

風宇は食べ終わったようで食器重ねキッチンへと持って行く。俺はまだ食べ中だ。
ガチャガチャと食器を水に浸ける音を聞きながら、咀嚼していた念願だったお刺身を飲み込んだ。

「平凡君」

「…誰だそれ」

「名前言っても風宇は分かんねぇよー。あ、こう言えば分かるかなぁ転入生の大親友」

俺はほくそ笑むと風宇は額に皺を寄せ溜息を深くつく。

「お前…また厄介なのに手出しやがって」

先月この学園にが転入生やって来た。

その転入生は校長の甥であり、どこが気に入られたのか生徒会の奴らを次々と落としていった。
うちの生徒会は特殊で人気投票で選出される。その上位五人は生徒会のメンバーとして働く事になる。
人気の学園のアイドルの生徒会には親衛隊なる物があり、さっき俺が観察していたカマ集団もかなりの確率で生徒会親衛隊だろう多分。

親衛隊の主な仕事は生徒会へ近づいた物への忠告、制裁とうの嫌がらせ、生徒会の奴らが溜まらないように処理する事だ。
ん?何故が溜まらないかって?性欲ですよ性欲。
高校生の健康的な男子である彼らは当然、性欲が溜まる。それを身体を使って処理するのが親衛隊の仕事だ。
簡単に言えばセフレだな。気持ち悪ぃ。

まぁ、人気者達に気に入られた転入生は当然即忠告された。けれど外部からの転入生である彼はそれを無視…、

いや親衛隊に言い返したのだ

「お前らみたいなのがいるからあいつらに友達が出来ないんだぞっ!悪いと思わないのかよっ!!あいつらだって友達が欲しいんだ!お前らなんて最低だ!!!」

と。

それに親衛隊はブチギレし、そく忠告から事実上の制裁に移った。
しかし格闘技をやっているらしい転入生はそれを返り討ち。
その事で親衛隊は一度静まったはずだった。

しかし親衛隊は見つけたのだ。転入生の弱点を。

転入生の同じクラスの平凡君。その子は転入生に気に入られ、親友になって生徒会と一緒に過ごしていた。
そう親衛隊はその親友を攻撃しようと考えたのだ。
そして今日の平凡君がその親友君だ。
つまり、俺はその現場に立ち会っていたのだ。しかもわざわざ助けてしまった。そんな予定じゃなかったのに。

…あー、俺も未練がましくなったな。いやだってこのつまらない学園で楽しみと言ったそれくらいしかないのだ。
しかも俺は平々凡々なただの性格が悪いだけのやつですしねー。そうそう面白い事が回ってくるはずがない。
本当、何か大変な事が起こらねぇかなぁ。

食事を食べ終わり、キッチンのシンクの上に置いてある水の張ったボールの中に食器をつける。食べた後そうしないと風宇が怒るのだ。

食器を洗う風宇の後ろを失礼して冷蔵庫まで行き食事中は禁止されているオレンジジュースを飲む。

あーオレンジジュースうま。

ゴクゴクと一気飲みし、背後にいる風宇に寄っ掛かった。風宇はうわっと声をあげよろけたが、離れようとはしなかった。

うん、やっぱり風宇は良いね。癒される。ツンデレツンデレ。

「あーあ。また暇になっちゃったー」

「知らねぇよ。非日常に連れてってくれる王子様でも待っとけ」

「あー王子様早く来てくれないかしらー。てか俺が姫なのかよ」

「じゃあお前姫に迎えに来てもらいたい訳?」

「いや、馬に乗って迎えに行きたいね」

「じゃあ乗馬部にでも入っとけ」


乗馬部ってここにあったっけ?


あー…本当に姫様みたく待ってたら、非日常があっちから訪れればいいのにー。


…本当暇過ぎて死にそう。
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