リボーン

□ツナ誕
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「誕生日おめでとう」



 いきなり休日に部屋の窓から入ってきて、そう宣われたのは恐ろしい風紀委員長さま。


「乗り込んできていきなりそれですか!?」

「何?文句でもあるの?祝の言葉をあげたんだ。お礼も言えないの君」

「え、あ…ありがとうございます…?」

「どう致しまして」


 ニコリと微笑む雲雀さん。超怖ぇえ!!綺麗な笑顔に裏がありそうで、恐怖しか生まれてこない!!


「ど、どどどうしたんですか雲雀さん。いきなり誕生日おめでとうなんて…一服盛られました?」

「君何気に失礼だね。僕はただただ並盛中の生徒の誕生日を祝ってあげただけじゃない」

「う、嘘だ!絶対嘘だぁ!!だって雲雀さんがそんな事するわけないですもん!…どうせ、骸だろ?雲雀さんがわざわざオレなんかの為にそんな事するわけない!だったら昨日来て、リボーンの誕生日祝ってるだろ!」

「…失礼だね」


 腕を組み、額に皺を浮かべる骸(雲雀さんの訳がないから、確定)。


「──でもお前凄いなぁ。まったく分かんないよ…。いつもなら分かるのに」


 そう言うと骸の頬に触れる。本当そっくりだ。……ってまさか。


「もしかして幻覚じゃなくて、乗っ取ってるとかじゃないだろうな!!」


 そうだとしたら後が怖すぎるっ!!


「…────君、確か六道骸に体狙われてたんじゃなかったの?いつそんなに仲良くなったの」


 頬に振れていた手を掴み、機嫌が悪くなる骸(?)。


 …え…骸だよね?え、ぇええ?ぇええぇえ!?まさか…。


「…骸じゃないの……?」


 そうだと言って!クフフ、僕ですよ、って気持ち悪いあの笑い方をして!!
 願うもののその願いは、呆気なく散った。


「違うよ。僕は本物の雲雀恭弥だ。クフフも言わなければ、敬語なんかで話したこともないし、君にスリッパで叩かれた事もある。本物だよ」


 顔が一気に冷えてゆく。自分でも青くなっているって分かるくらいに。
 スリッパの事は骸は知らないはず。その時にはまだオレを見つけてなかったのだから。ということは…?


「ひ、雲雀さん!?」

「だからそうだと最初から言ってるじゃない」


 ど、どうしよう…。オレ、骸だと思ってタメ口だったよ。頬に普通に触れてたよ!死刑確定だよね!?咬み殺される事確定だよね!!?


「スミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセン」


 即土下座をして謝る。なんか「」の中が気持ち悪くなってるけど、気にしてる場合じゃない!!こ、殺される!いやマジで。


「オ、オレ、すっかり骸だと!」

「へぇー、僕があの気持ち悪い南国果実に見えた訳だ君には」


 死亡フラグが立ちました。もちろんオレの。
 雲雀さんはいつの間にやらトンファーを持って、ゆっくりと振りかぶっていた。


「ひ、雲雀さん…?オ、オオオレなんか咬み殺しても得ないですよ!!逆に損しかありません!!トンファーは汚れるし、体力の無駄だし!!!」


 言ってみるものの、雲雀さんがそんな事聞き入れてくれないのは重々承知してる。
 オレは無意識に目をつぶり、腕で頭を庇うように上に配置していた。

 トンファーを待ち構えていると、急にもう片方の手も掴まれた。頭を叩くつもりのようだ。これ以上バカになったりしたらヤバいなぁなんて考えてた時、口を塞がれた。


 いや、唇を塞がれたと言ったほうが正しいだろうか。

 柔らかくて生暖かい。

 目を恐る恐る開けて見ると目の前いっぱいに雲雀さんの顔が。


 雲雀さんは目を開けていて、当然オレと目が合う。
 すると、ペロリと唇を舐められた。

「!?」


 同じように何度も舌を出しては舐める。瞳は開いたままで。

 オレはどうしようもなく混乱して涙目になりながらも、抵抗も出来ず、目を閉じれずなされるがままになっていた。

 少しすると雲雀さんは身を引いた。やっと雲雀さんの唇から解放されたオレは息を吸えた。いきなり空気をたくさん吸ったせいか咳き込んだ。

 オレが息を整えていると、耳元で雲雀さんが


「誕生日だから、トンファーは使わないでおいてあげる。あとコレがプレゼントと思ってくれていいから」


と囁くと、窓から出て行った。










「……………………………………………は?」


 オレはしばらくの間、放心状態で固まっていた。
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