リボーン
□どうやら敵に恋をしてしまったようです。
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「…覚えておきなよ」
黒髪のつり目の吸血鬼は屋敷の床から起き上がると先程自分を倒した少年の事を思い出しながら、楽しそうに呟いた。
まるで獲物を定めた肉食獣のような顔をして。
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「やっとヒバリンを倒せたんだ、俺…」
オレは息を吐きながら、自分の腕にたった先とある吸血鬼につけられた傷にバンソーコーを貼っていた。しかし上手く貼れなくて苦戦しているとゴクデラくんが自分がやりましょうか?と手伝ってくれた。貼るのは慣れていたはずなのだが、疲労となによりまだ緊張状態が続いているのか手が震える。
そんなに迷惑かけられないとも思ったが、傷が痛むのもありお願いした。明らかに自分より手際良いゴクデラくんを見てるとバンソーコーを貼るだけのことも不器用な自分に自己嫌悪に陥りそうになる。
貼り終えたゴクデラくんにどうかしましたか?と聞かれたので、オレは暗い表情でもしてたのかもしれない。何でもないよ、ありがとうと貼ってくれたお礼を言うと誇らしそうにお礼を返された。オレ、何もしてないんだけどなぁ…。
「ねぇリボじぃ。これからどうするの?ヒバリンを倒したし、これで旅も終わりだよね!」
期待に胸を膨らませて、ヒバリンにやられたはずなのに傷一つない魔法使いに話掛ける。
…やっと元の安全な生活に戻れる!なんて思考を読み取ったように。
「そんな訳ないでしょう。世界一の怪物使いになるには、まだまだ遠い道のりですぞ」
ですよねー。
最悪の応えが帰ってきた。やっぱりオレ死亡…?ずーんと落ち込むとゴクデラくんに頑張りましょう!ボス!と励まされた。…ゴクデラくんの優しさが心に染みる…(涙)。
「でもこれからどうすんだ?ヒバリンより強い奴なんて居んのか?」
ニコニコとゾンビとは思えない爽やかな笑顔を向け、武はリボじぃに話し掛ける。
「けっ、どんなやつが来ようとボスなら負けねぇよ!ねっボス!」
笑顔のゴクデラくんに押され、ついうんと答えてしまった。ヒバリンでも苦戦したのにもっと強い奴なんて来たら今度こそ本当に死ぬんじゃないだろうか。
「で?次はどんな奴なんだ?」
「もう少しすれば分かりますぞ」
武が問うとニヤリと笑い返事をするリボじぃ。この先の不安で泣きたくなった。
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