オリジナルBL

□退屈症なネコ
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「ハニーたっだいまー!ダーリンが帰って来たぶっ」

俺が上機嫌で部屋の扉を開け放つと枕が飛んできた。ちょっと、勢い良すぎじゃない?俺は飛んできた枕を顔面でキャッチし、いたたと呟きながら顔を擦りながらリビングに向かうとソファーに俺の唯一の親友である風宇(ふう)無表情で座っていた。ちなみに風宇は顔の筋肉が常に眠っているため基本無表情だ。

「もーダーリンが帰って来たのに無視ですかー?そんな事してると浮気しちゃうぞぉ」

風宇は俺に目も意識も向けずテレビを見つめている。あらら、愛想尽かされちゃったかしら?俺がウフフフフと笑うとまたソファーに置いてあったクッションを投げられた。

「…ねぇハニー何んで怒ってんの?そもそも怒ってるの?何で枕投げんの?何で投げた枕がYES/NO枕なの?遠回しに誘ってる?もしそうなら俺頑張っちゃうけど。絶倫と定評のある(嘘)少し右曲がりのソーセージ使って頑張っちゃうけど。え?何本当にOKなの?初夜しちゃう?俺男相手に起つかな?まぁハニーだし大丈夫か。あ、寝る前に優しくしてねはーとって言ってね。俺そういうのに燃えるから。萌えるから」

ニヤニヤと笑いながら言うとまたクッションを投げられた。イテテテ。

「黙れ。誰もお前のちんまい下半身の事情なんて聞きたかねぇんだよ。握り潰すぞ」

目が本気だぜハニー。
怖い怖いよー家庭内暴力だーDVだー。

「で、お前は俺に何か言う事あるじゃねぇのかよ」

風宇は腕を組くみ立ち上がって俺を見下ろした。風宇は俺よりも頭一つ分背が高いので自然と見上げる形になる。
へーへー、分かってますよー。風宇君が何で怒ってるかぐらいー。伊達に何年も親友やってるわけじゃないしな。

「遅くなって心配させてスミマセンでした」

頭を下げると頭をポンと叩かれた。
まったく優しいなぁハニーは。頭を叩かれ愛情に浸ってるとガシッと頭を掴まれた。
え!?何!?痛い痛い痛い!風宇はガッシリと俺の頭を掴みグググッと音がなるくらい力を込める。ちょっ、ハニー!?痛い!痛いよ!?どうしたのハニー!!まさか思春期なの!?反抗期!?尖ったナイフなの!?近付いたら火傷しちゃうの!?急に中学生になって色気づいて腰パンとかして髪染めて学校行く前に朝シャンとか入っちゃったりして20分も掛けて髪形セットしてワックスでベトベトにすんの!?やだよ俺そんなハニー!俺は黒髪の強面の無表情のハニーが好きなのに!!

「痛い痛い痛い痛い!!」

「違うよな?俺が聞きたいのはそういう事じゃねぇーんだよ。お前が遅れたから俺の晩飯は遅くなったんだっつーの。謝るベクトルが違げぇんだよテメェは。分かったら全身全霊で俺に謝れお前のせいで腹がさっきから鳴りっぱなしなんだよ」

「スミマセンでした!!調子にのりました!!これからはもうしません!!だから離して!!痛い痛い痛い!!頭にヒビが入る!!脳ミソ見えちゃうよ!!」

「俺カニ味噌好きだから人間のも行けんじゃねぇ?(笑)」

「ギャァァァ!!やめてストップ風宇君!!美味しくないよ!?人間のは美味しくないよォォ特に俺のは腐って異臭放ってるから!カビ這えてるからァァ!!だから頭パーンてなるから手を離して!!」

必死に説得すると手をパッと離された。風宇は機嫌が戻ったようでキッチンへと向かった。基本無表情なのでなんとなくそう思っただけだが。
俺はというとリアルに涙目だ。ひどい。家庭内暴力だ。まさか愛しのハニーに暴力を振るわれるなんて。痛かったマジで頭パーンなる所やった。

「オイ、いつまで這いつくばってんだ。皿テーブルに持って行け」

理不尽だ。
誰のせいだと訴えたかったが、次こそ本気で食われそうなので止めといた。命は大事にしなきゃ。
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