短編、或いは妄想集
□ある日の如月陽太
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猫。
僕、如月陽太がお金より愛して止まない存在。
そして、あの青いガラケー(ケータイさん)から貰った猫カフェの割引券。
僕が取った行動は当然の結果だった。
管理人が『まほうつかいの箱 スターリット・マーマレード』を2まで聴いたんだから、青いフューチャーフォンだって店長だって、立派に進行くらい出来るはずだからだ。
……まぁとにかく、僕は猫カフェに向かったのさ。
◆◆◆
「誰かと思えば、お金にがめつい如月陽太だにゃ」
猫耳メイドみたいな格好の少女と僕は顔見知りだ。
彼女は今、最近出来た芸能事務所でアイドルとして売り出し中の前川みく。
売り出し中な為か、彼女はこの猫カフェでアルバイトとして働いている。
だが、僕はこの子は嫌いだったりする。ひびきちゃんあたりが訊いたら怒りそうだけど仕方無い。何故ならば……。
「入って早々随分と無礼な挨拶だね、魚嫌いの前川みく」
そう、猫系アイドルとして売り出しているのに肝心の前川が猫の好物たる魚を嫌っている。この矛盾、腹が立つ。
「う、うるさいにゃ!……それよりも、ここのネコちゃん達の様子がおかしいにゃ……まさか」
「いや僕前川の事は嫌いだけどそれ以前に猫は愛してるから」
それにわざわざ嫌がらせなんてする労力があったら、アーネンエルベの経営方針を思案するさ。
「そ、そうだったにゃ……だとしたらこの猫ちゃん達の怯え様は……?」
前川の言葉に、僕が猫達の怯える先を見る。
「……よ、お前もここに来てたのか。アーネンエルベのウェイター」
「あー……うん、君ならまぁしょうがない、のかなぁ?」
あの不気味な笑みと小ささ……まるでスライム〇スみたいな少女を見て、僕は諦めた。
「見るからに怪しいにゃ!お前何者なのにゃ!?」
本物の猫なら全身の毛が逆立っているであろう警戒心を剥き出しにする前川。
その前川に指を指された彼女は名乗り出た。
「オッス、オラ栗枝クララ……動物は愛でるのも食べるのも大好きだ」
……続かない。