Short story

□バレンタインきすゆー!【グレウェン】
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扉を軽くとんとんと叩く。
すると中から元気のいい声が返ってきた。
「いいよー!ウェンディ!入って入って!」

「おじゃましまーす。」
扉を開けて中に入ると
こっちこっちと顔を出して呼んでくる。
その呼ぶ方向へ私は足をすすめた。
キッチンには材料や器具が並んでいる。
シェリアは薄ピンクのエプロンをきて
まだ何かを探している。

私も早く準備をしなくちゃ…!
ええと…エプロン、エプロン!

鞄の中をさぐっていると
シェリアが問いかけてきた。

「ねえ、ウェンディって誰にチョコ渡すの?」
「え…?」
好きな人の顔が浮かんでくるのを
消すようにぶるぶると左右に頭を振った。
「だ…誰にって!
 私は誰にも渡さないよ…!!」
ああ、ダメだ。
こんな嘘をついても絶対にばれちゃう。
だって多分もう顔に出ちゃってるんだから。

「ウェンディのうーそーつーきー!
 顔真っ赤だよ!絶対いるでしょ!
 ほらほら!
シェリアちゃんに言っちゃいなさい!」
やっぱり、ばれちゃってる!!
私ってそんなに顔に出やすいっけ?
うう…

探し物をほったらかしにして
私の前まで来て
ガタガタと肩を揺らしてくる。
「わかった!
 ちゃんと言うからシェリア、落ち着いて!」
「やったあ!」
すごく嬉しそうに
はしゃぐシェリアを見て微笑む。
 
「ウェンディって遠慮しがちなところあるから
 遠慮なんてせずに頑張ってほしいんだよね!
えへへ!」
そういって笑うシェリアにつられて
私も一緒に笑った。
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