Memory

□二日目
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夏休みに入って二日目。
バクラは何も知らないみたい。………と言うより、記憶が吹き飛んだみたい。

色々教えてやった。

さて、買い物行かなきゃ。
「待て、俺も行く」
僕が玄関に行って、スーパーに行こうとしたら、バクラが呼び止めた。
「いや、駄目だよ。バクラ、良く分かって無いじゃん」
「だから学びに行く」
あぁ、なるほど………。
「なら、一緒に行こっか^^」
何だろう、どうして買い物に行くだけなのに、こんなに嬉しいんだろう。


「あれがね、車だよ。テレビで見たから、大体分かるよね?」
「おう………」
興味津々に街を見渡すバクラ。何だか可愛い。


スーパーでは、野菜を買って、肉コーナーで、バクラは肉を見つめていた。
「食べたいの?」
「………あぁ」
「安いから、買ってあげる」
「本当か?」
「勿論^^」
何だか嬉しそうなバクラ。

で次にシチューのルーや香辛料とか籠に入れた。
バクラは、………お菓子売場に居る。
「………一個ぐらいなら、買ってあげる」
「…………おう、なら」
バクラは板チョコのブラックチョコを籠に入れた。
「……………ふーん、苦いのが好きなんだ」
「だってお前が昨日食ってたしゅーくりーむってやつ、何か甘ったるくて嫌いだ」
「あ、確かに嫌がってたね」
昨日の晩ご飯の後に、シュークリームを一口あげたら、嫌そうな顔をしていた。あれには笑っちゃったな。
「……………他に買うものはあるのか?」
「無い、かな」
「……………そうか」
へへっ、今日の昼ご飯は、オムライスにするんだ〜。だから早く帰りたい!

会計を済ませ、バクラに肉とかをビニール袋を入れさせた。
「……………入れる意味があるのか?」
「うん!」
多分意味を言っても、バクラには理解できないだろうね〜。




「ほら、荷物を貸しな」
「ありがとー」
何だか、兄貴みたいだな〜。まあ、周りから見たら、双子の兄弟に見えるんだろうな〜。
嬉しい気持ちのまま帰宅しようとした。
けど、今、会いたくない人達に会いそうになった。だから僕は慌ててバクラを連れて、細い路地裏への道に逃げた。
「!どうした」
「……………ごめん。今は彼らには、会いたくないんだ」
そう、遊戯君達に。……………だって今バクラと出会ったら、頭が混乱するでしょ。そのまま裏路地から帰ることにした。



「ただいま〜」
「……………」
やっと帰って来られた。買い物袋を、キッチンに運んだ。
「さて、お昼にしようか」
「昼、か……………」
キッチンからバクラが、廊下に向かっていた。どうしたんだろう。っと、思ったら、ただ単に洗面所に手を洗いに行っただけだった。
「……………律儀だな」
けど、それが、良いのかな…………?

バクラがキッチンに戻って来たから、料理の手伝いをさせた。




二人で一緒に作ったオムライスは、凄く美味しかった。

その後、リビングで一緒にソファーに座って、テレビを見る。

笑い合い、話しをする。
……………僕が望んでた日常が、そこにはあった。

「すげーな、了。現代ってこんなに進んでるんだな」
スマホのCMを、嬉しそうに見て言うバクラ。
「だねー。あ、僕携帯変えなきゃ」
「なら、スマホにしろよ」
「……………どうせなら、バクラのも買ってあげる」
「本当か?了は優しいな」
僕の頭を撫でるバクラ。その、何気なく見せた笑顔が、僕の胸に突き刺さった。

君は、あのバクラじゃないよね。

そう、自分の胸に言い聞かせた。


END

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