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□三日目
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三日目。
バクラも、それなりに料理が出来るようになったみたいで、朝は先に起きて、朝ご飯を作ってくれていた。
「おはよう、了」
「おはよー…………。早いね」
「まあ、早く目が覚めちまってさ」
……………エプロンしてるバクラ。何か新鮮。
「まだ簡単なものしか作れないからな」
目玉焼きをチーズが乗っかった食パンの上に乗せた。
「この前読んだ漫画に、あってさ。旨そうに見えたから、やってみたぜ」
ああ、なるほどね。
たとえ簡単な料理と言っても、バクラが作ってくれたんだから、凄く嬉しい。
「食べたら、また街に行こう?君の服を買いに行かなきゃ」
そう。今の彼が着てるのは、僕の制服(ワイシャツとズボン)。流石に着るものが、ね。
「そう、だな……………」
テーブルに朝食を並べる。まあお金なら全然大丈夫だし。



朝食も済ませ、バクラはそのままの格好で。僕は着替えた。

「どんな服が欲しいの?」
「んー、……………任せる」
「あはは……………」
まあ、現代のことが分からないんだもんね。



さて、デパートに着いた。えっとバクラだから…………。ヴィジュアル系なファッションとか?
案の定、バクラは完璧ヴィジュアル系の店の前で止まり、中の様子を伺っていた。
「……………」
「中、見よ?」
「ああ……………」

………うわー、僕は絶対似合わないだろうな〜。ちょっと掛かってた服を手に取り、自分に当てて、鏡で見てみる。………つくづく似合わない。ため息を付いて、その服を元に戻す。ちらっと隣のバクラの様子が気になったので、見てみた。バクラは店員さんと、何やら話し込んでいるみたいだ。
「それでしたら、こちらのRAGGED BLACKパンツの方が似合いますよ?」
「……………」
うーん、と唸っているバクラ。僕には、似合わないからな。何だか羨ましい…………。
「一度試着してみますか?」
「そう、だな………」
バクラは2つの衣類を持って、試着室へと入って行った。
「あの、お二人は双子ですか?」
店員さんの男性の人が、僕に興味津々でそう聞いてきた。
「はい」
つい、にっこりとしながら、言ってしまった。
「やはりそうでしたか!凄く似ていらっしゃったので………」
「そう、ですよね………」

本当は、血なんて繋がってないのに。


バクラが着ていた服は、とてもバクラに似合っていた。だから、直ぐに買ってあげた。後は他に格好いいTシャツとかも買ってあげた。




「ありがとな。沢山買ってくれて」
「大したことじゃ無いさ^^」
……………バクラ。
「バクラ……………」
「了?」
優しく、僕の頬に触れるバクラ。それが、切なくて。


どうして、こんなに気持ちになってしまうんだろう。





END
 

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