Memory

□五日目
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昨日のデュエルは白熱した。久々だったし、楽しかった。

今日は僕が早起きして、朝ごはんを作っておいた。それからしばらくして、バクラが起きて来た。
「おはよう………」
「おはよう。朝ごはんなら出来てるよ!」
「………ありがとう」
そう言って、僕の頭を優しく撫でる。

それがまた、僕の胸に突き刺さった。

君は、………………


「ちょっと待ってろ。顔、洗ってくる」
「うん」
随分慣れてきたよね。初めに比べたら。けど、やっぱり慣れないことは、慣れないみたい。
たとえば、ヘリの音とか。飛行機の通過する音とか。時々鳴ると、びくってするから、つい笑っちゃうんだ。
バクラが戻って来て、一緒に朝食を食べている。
「あ、今日出掛けるんだよな?」
「そうだよ」
「なら昨日買ってもらった服でも、着て行くか」
ああ、あの嬉しそうにすぐに着た服か。本当に君って、子供だよね。
まあ、別に良いんだけどさ。
「あ、そうだ」
机から立ち上がり、何処かに行ってしまうバクラ。どうしたのかな………。けど直ぐに戻って来た。
「ほら」
そう言って、自分のデッキを持って来た。そして座ってパンをかじる。
「え、どうしたの?」
「昨日ちょっとの時間で作り直してみたのさ」
ちょっと僕はそのデッキを見てみた。
あ、やっぱりオカルトデッキなんだね。僕があげた雑魚カードの中から、闇を選んでいた。やっぱり火とか水とか、選ばないんだよね。
「ほら、何ぼーっと見つめてんだよ。とっとと飯をくっちまちおうぜ」
あ、僕が見ていたバクラのデッキを取り上げてられた。
「分かったよ………」
ぱくっとパンを一口食べる。



食べ終わって、片付けて、早速着替えてるバクラ。何だかその姿が、とっても嬉しそう。
さて、僕も着替えよう。
服装は、いつもの格好で、いっか。
そして着替え終わって、必要な物をカバンに入れて、家を出た。

駅に着くと、バクラが興味津々で辺りをキョロキョロしていた。
「………………」
「僕から離れないでね?」
「おう」
まあ、そんな事は無いと思うけどね。
切符を買って、駅のホームへと向かう。僕は小声で、電車の説明をしてあげた。
しばらくして電車が来たので乗った。あいにく混んでいて、座れない。まあ、仕方ないね。

カーブに入ったのか、身体が倒れそうになった。それを受け止めてくれるバクラ。
「大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう」
本当に優しい君。ずっとこのままで良いのにね。


しばらくして、電車は秋葉原に着いた。
駅を出て、何処に行こうかと悩んでいた。
「うーん………………」
「ほーう……………」
バクラは周りを見渡している。そりゃ、いつもと違う場所に来たから、新鮮だよね。
「取り敢えず歩こうか?」
「ああ」
駅の所に居ても、しょうがないしね。

街を歩いていると、可愛いメイドさんがティッシュやチラシを配っているのを見かけた。やっぱり、受け取ってあげた方が良いよね………?チラシを受け取ると、本当に嬉しそうに「ありがとうございます!」って言って来た。それからメイドカフェへの勧誘ばっかりだったので、僕は急いでるので、と言って断り続けた。まさかそこまで言ってくるとは………………。
ようやくお目当てのビルに到着した。
「ここは………?」
「アニメグッツ専門の店だよ」
「………」
バクラには、やっぱり不向きだったかな?なら、入るのをやめておこう。
そこから裏路地に向かった。するとカードショップがあった。ここならバクラも喜ぶね!
店内には沢山のカードが並べてあった。
嬉しそうにガラスケース越しにカードを見つめるバクラ。欲しいカードでもあったのかな………?
僕は僕で、どのパックを買うか、悩んでいた。そんな時だった。
「あれ、獏良君。カッコいい服を着てるね」
「あん?」
「あれ………。って、え?」
「っ!!バクラ!!」
僕は慌ててバクラの手を握り、遊戯君から逃げるかのように、カードショップから逃げ出した。

「バクラ、………………?嘘………?」
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