Memory

□変わって行く中で
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いつも通りの朝、……………の筈だったんだけど。
「了起きろ」
「う………ん………。!あれ、バクラ?」
僕はガバッと布団から出て、起き上がった。
「おはよう」
「お、はよ………。バクっ、ラレスは?」
「朝飯作ってる。俺様は了を起こしに来たぜ」
また、やってしまった………。どうしていつも、早起きが出来ないんだろう。


顔を洗い、歯磨きを済ませてから、リビングに向かった。
「おはよう、了」
「おはよう、ラレス。早いね」
「お前がここ最近、遅いんだろ」
「ははっ………」

だって、夜、何度も僕は、目が覚めてしまうんだ。
君が、魘(うな)されているから、何だけどね。


朝食を済ませ、僕はラレスと一緒に皿を洗っていた。
「……………ねえ、バクラは、何か君に話とかした?」
「いや、何もして来ねえぜ?ただ、やたらとあれは何だ、とかは俺に聞いてくるけどな」
良かった。



バクラ、君は、あの時、遊戯君に負けて、砂になって消えたんだよね。
けど、実際はその消える前に何故かタイムスリップして、あそこに居たんだね。

また歴史が、変わってしまった。まああれは全て記憶に過ぎないけど。





「……………なあ了」
「?どうしたの、バクラ」
僕はバクラに呼ばれて、リビングのバクラが寝転んでいるソファーに向かった。
「一つだけ教えてくれ。……………ファラオは、どうした。神官や神は」
「……………みんな、冥界に行ったよ。いや、帰ったよ」
「そう、か……………」
だからね、復讐なんて止めて。お願いだよ…………。


「……………俺様だけ、また生き残っちまったか」
さり気なく言った一言。
けど、それは僕の胸に深く突き刺さった。
「何、言ってるの?」
「だってそうじゃねえか。…………………村の皆は虐殺され、俺様しか生き残ってねえ。それに亡きファラオ今、復讐する相手はいねー。つまり、俺様の復讐劇は、終わったんだ。……………目的もない世界にいても、俺様は…………」

パチン

僕は彼の頬を打った。

「ってぇ……………。何しやがる!」
「何で、………………何で、そんな事を言うの?目的がなきゃ、この世界に居ちゃ駄目なの?復讐する事だけが生き甲斐だ何て言うの?馬鹿じゃないの?」
「何だと?!」
「!!バクラ!」
バクラは立ち上がって、僕の胸ぐらを掴む。
「俺様が馬鹿だと?」
「ああ馬鹿さ。大馬鹿だよ!……復讐のためだけに生きているなんて。復讐以外にも、生きる意味はあるでしょ?」
「あるか!あんな………盗賊の村に生まれた俺様に、生きる意味なんか………」
「生きる意味なんて、僕にだってないよ!…意味なんてなくても、人は生きて行けるんだよ?それに………新しい人生を、君はまだ築いていける。まだまだ時間は、沢山あるんだよ?………僕とラレスもいる。だから、これからは三人で生きて行こう」
「了………………」
「………ふぅ」
僕たちの光景を見て、胸を撫で下ろすラレス。バクラは僕の胸ぐらを離した。
「落ち着いた?」
「………………あぁ。すまねえ、取り乱して」
「大丈夫だよ」
バクラは僕から離れるように、リビングから立ち去って行った。多分、僕の部屋に行ったんだろう。
「了、大丈夫か?」
「僕は、平気」
問題は、彼だ。大丈夫かな………………。
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