Memory

□真実
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もう時は夕暮れ。
あれからバクラは部屋から出て来なかった。僕とラレスはあえて、彼の元には行かなかった。
「了………」
「あ、バクラ」
「やっと出て来たか………」
「………了に、話がある」
「………………うん、分かった。ねえラレス、良かったら買い物に行ってきてくれない?はいこれ、買う物のメモ」
「………分かった」
ラレスをこの場から遠ざける。一応、念のため。



バクラを食卓用の椅子に座らせ、面と向かって、話をする事にした。
「俺様、ここでお前らと暮らす。そして、こっちの世界で、俺様がやるべき事を見つける」
「バクラ………」
何か、涙が出そうになった。良かった………。
「それともう一つ。ラレスの事だが………………、あいつは、一体何なんだ?」
もう、君には隠していられない、か………。
仕方ない、全て話そう。

大邪神ゾーク・ネクロファデスの一部である事も。千年リング宿っていた、闇だと言う事も。






「………………つまりラレスは、大邪神ゾーク・ネクロファデスの一部……?」
「まあ、そう言う事になるね」
「………お前の話が本当なら、俺様はあの後蘇って、ラレスにまた、意識を乗っ取られて、ファラオと戦って、………(だから俺様は、あの時、クル・エルナ村の地下神殿にいた。………なるほどな。ようやく理解出来たぜ)」
「そう。………多分ラレスの記憶がないのは、タイムスリップした際に運良く消えたんだよ」
「………………。もしあいつの記憶が蘇ったら、どうなる?」
「さあ………………。きっと僕の友達を殺すだろうね」
「そう、か………。………何だか、不思議だ。あいつは人間じゃ無くて。お前は俺の来世の姿、か。世界ってのは、分からねーもんだな」
「ねっ、不思議だよね。僕も、前世が君だと思うと、不思議。………こうして話している事も、ね。あ、絶対この事をラレスに言わないでよ?………さっきも言ったけど」
「分かってる。あいつの記憶を戻したくないんだろう?喋らないさ、安心しな」
「ありがとう、バクラ」
「おう」
これで、一安心。それに、バクラは………。



それから僕とバクラは、一緒にテレビを見て、ラレスの帰りを待った。
しばらくして、ラレスが帰って来た。
「ただいま」
「おかえり!」
僕は走って玄関に向かい、彼を出迎えた。
「………話は、終わったのか?」
「うん。………」
「なに、別にどんな事を話してたか、とか、聞こうとはしないさ。安心しな」
「ごめん………」
君に話せる内容だったら、良いんだけどね。

複雑だよ。


晩ご飯は、バクラと一緒に作ろうと思った。だからラレスにはテレビを見てもらっている。
「えっと、ジャガイモは洗ってから剥いてね。これで剥いて」
ジャガイモの剥き方を教えた。
「ほーう………。本当にこの世界は、便利だな」
「そうだよね。寧ろ便利すぎて………厄介だよ」
「そうなのか?」
「うん。………………」
ちらっとラレスの方を見てみる。ラレスはニュースを見ているようだ。
『ここ最近、いじめについての新たな検討が………』
「いじめ?………なあ了、」
「ごめん僕、分からない」
「そうか………」
違う、本当は言いたくないんだ。君には、そんな知識要らないから。

今日は僕の好きなシチューにした。初めバクラは驚いていた。けど食べたら、美味しいって言ってくれたから、良かった。これでまずいって言われたら………。今日の食後のデザートは、シュークリーム♪久々で美味しかった!


何故か、今日に限って、一緒に風呂に入りたいと言い出したラレス。
「どうしたの?」
「いや………。一緒に居たいんだ」
「良いけど………」
どうしたんだろう?子供じゃないのに………。
まっ、いっか。
「あ、バクラも一緒に入る?」
「おいおい、三人も入れるほど、広くねーだろ?俺様は待ってるさ」
はは、だよね。




END

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