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□代わりとして
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僕は朝起きてちらっとカレンダーを見た。
「うわぁぁぁぁあああ!!!」
「!!どうした了!!」
「何だぁ!?宿主!!!」
「今日三者面談だったぁぁぁぁああ!!」
「「………は?」」
そうだった!すっかり忘れてた………。どうしよう!父さんは今居ないし………………。
「………そうだ!ねえラレス!!今日僕の従兄弟として一緒に学校に来てよ!」
「………あの宿主。全く話の筋が見えねーんだが」
「とにかく一緒に学校に来てくれればいいんだよ。あ、バクラ。起きたなら朝ごはん作って来て」
「お、おう」
さて、ラレスにちゃんと説明しなきゃ。



「………それで俺様が、代わりにと?」
「うん。あ、先生を怖がらせちゃ駄目だからね!口調は俺様無し!それに、いちいち先生が言った事に口出ししないでね!」
「はいはい。要は黙って聞いてればいいんだろ?」
まあ、そうなんだけど。君っていちいち突っかかって来るから………。
とにかくベッドから出ないと。
「あ!どうしよう!まともな服なんて買ってないよ〜」
「あん?お前は制服だろう?」
「僕じゃないよ!お前だよ!どーしよー!ホストみたいな格好しかないなんて………」
「ホスト?」
「ああどうしよう!バクラの服を着せたいけど、大きすぎるし………!」
「………何か適当に理由付けて言えば良いんじゃねえか?」
「うー………」
次々に嫌な事が………。
「おい二人とも、出来たぜ」
あれからそれなりの時間が経過していたんだね………。
「取り敢えず、飯を食うぞ」
「うん………」
本当にどうしよう。こんな時のために、普通のTシャツとかジーパンとか、買っておけばよかった………………。



朝ごはんを食べ終わって、三者面談の時間を確認する。午後1時から、か。まだ時間はあるね、良かった。
「なあ、俺様が行っちゃ駄目なのか?」
「うーん、バクラじゃ……。肌の色が濃いから、ね………」
「あ、そうか」
ごめんねバクラ。本当なら、君を連れて行きたいんだけど、ね。
「後名前!カタカナじゃまずいし………。何か適当に………」
………ラレスは呑気にテレビ見てるし。
けどちょうど良かった。テレビで出て来たカッコいい俳優。彼の名前を借りよう。
「………ねえラレス。今日だけ名前、火野勇気って名乗って?」
「おう」
そうじゃないと、まずい。
さて、今は11時。学校までの時間は、大体20分ぐらい。12時半に出れば、間に合うね!
さて、ラレスの服装を考えなきゃ………。


僕は今ある服装から、なるべくホストっぽくならない格好を選ばないと………。
僕はラレスにいろいろ服を着せたりしていた。
「うーん、これじゃ駄目だ………。アクセサリーを無くしても、服のデザインからして、駄目か………」
「なあ宿主。今更良くないか?何か適当に言い訳を造ればいいだろう?」
「そうなんだけど………。なら、それは君が考えてよ」
「は?ってえぇ!どうしてそうなる!!」
「だって君が言い出したんだろ?僕はそろそろ制服に着替えるから」
「ったく………」
そしてラレスは自分が一番気に入っている服装に着替えていた。ったく………。


僕は制服に着替えた。久々の制服。何だか慣れないな〜。ラレスをちらっと見る。………………やっぱり、格好良いな。
「………で、設定は考え付いた?」
「ああ。帰らない父親のために、従兄弟の俺様がこいつの学費のためにホストをやっていて、今日も早めの出勤。ってのはどうだ?」
そんな設定、どうしたら浮かぶのさ………。君が不思議だよ。
「もう、それでいいよ」
「あっあぁ(何怒ってんだよ?)」
はぁ。後はバクラに言ってこなきゃ。



僕はリビングでソファーに座ってテレビを見ているバクラにそう話した。
「了解。待ってるぜ」
「ごめん………」
「………了が謝る事じゃねーさ」
バクラは立ち上がって、僕の頭を撫でてくれた。
「しっかり聞いて来い」
「………うん!」
「ほら、もう行くぜ」
玄関からラレスの声が聞こえた。
「行ってきな」
「うん、行ってきます」
バクラから離れる。それが何処か切なかった。
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