Memory

□宿題
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もう7月も終わりに近づいた頃。僕はふと、机の上に置いてある紙を見て、絶句した。
そう、宿題だ。
何で高2にもなって出るんだろう……。
すっかり忘れてたんだよね。どうしようか……………。
やらなきゃ、駄目だよね?仕方ない。やろう。





※ラレス目線になります。


あん?どうして宿主が部屋から出て来てないんだ?もう10時だぞ。あいつ、ちゃんと朝飯は食うくせに。
「………」
仕方ねえ、呼んでくるか。バクラは、テレビを見てるし。
コンコン
「宿主?」
俺様は“ちゃんと”ノックして宿主の部屋に入った。
「何?」
「いや、朝飯……。もう10時だから。………何してるんだ?」
「んー?宿題」
「………あぁ、学生、だったか」
「そう。すっかり忘れててさー。………………けど、全然分からない」
………そんな目で俺様を見つめるな。
「俺様に頼ろうたって無駄だぞ。勉強なんてやった事ねーんだから」
「うぅ………」
大体、宿題ってのは、自分自身に出された課題だろ?それを他の奴にやってもらおうなんて、甘いんだよ。
「朝飯、どうすんだ?」
「………食べる」
「なら来い」
ったく、大変な宿主様だぜ。





※獏良目線に戻ります。

ラレスに、色目?を使ったけど通用しなった。はぁー………。
「あ、了!おはよう」
「おはよう、バクラ」
テレビを見てるバクラ。
ラレスは、僕の朝ごはんを用意してくれてる。何だかんだで、優しいんだよね。
「なあ、宿題の事。遊戯と一緒にやれば良いんじゃねえか?」
ラレスはごそごそと冷蔵庫から何かを取り出していた。
「あ、その手があったか!なら、そうする。電話して来るねー」
きっと遊戯君なら、やってるよね!たとえテストの点数低くても、やってるよね!
「てかよ宿主。勉強とかってお前の方が出来てるんじゃねーのか?」
「そうなんだけど…………、世界史の自主課題は」
「自主課題?ならやんなくても良いじゃねえか」
「やらないと加点がもらえないんだよ!」
「………そうか」
フライパンに卵を落とすラレス。目玉焼きか〜。
僕は受話器を取って、遊戯君の家に電話した。
「………もしもし?僕です、獏良です。………あ、はい、元気です。あの、遊戯君居ますか?………お願いします………」
「………(世界史、か。それなら俺様も、手伝えるかもな。英語とかは、無理だけどよ)」
「あ遊戯君?ごめんね突然!あのさ………」
とにかく誘ってみよう!

「そっか………………。え?ううん大丈夫!バクラにやらせるよ」
「ぶっ!」
「うん、またね」
遊戯君、これから城之内君たちと、海行く、か。タイミング悪かったな………。
「聞いてたでしょ?ねラレス。一緒にやろう」
「てめぇ………」
焼けた目玉焼きをお皿に入れているラレス。僕のその発言のせいで、目玉焼きを僕に投げようとした。
「………食べ物を粗末にしたら、バクラが起こるよ?」
「チッ………」
聞こえてない、ね。バクラには。良かった。
「ほら、食え」
「ありがとう」
今日の朝ごはんは、目玉焼きにベーコン、お味噌汁、ご飯、とシンプルだ。
「いただきまーす」
「………なあ宿主」
「ん?」
「その世界史の自主課題って、何やるんだ?」
「えっと………。自分の好きな時代について詳しく書くのと、その時代が好きな理由と、今の世界についてどう思うか。確かこの3つの事を書けば良いはず」
「ほーう……………」
僕だって、全てが出来ない訳じゃない。分からない事。それは、三つ目の事。今の世界についてどう思うか?分かるわけないよ。
「………いつにするんだ?」
「取り敢えず、僕が好きな古代エジプト」
「………」
「あ、やっぱり駄目だよね」
「……………いや、良いんじゃねえか?」
………珍しい。いつもなら、『はぁ?芸の無い奴だな。もっとほかの年代を選べねーのかよ』とか言って来そうなのに。面倒なのかな?
「古代エジプトなら、どの辺りだ?」
「まあ、やっぱりアメンホテムの時代かな〜」
「………もっと後にしたらどうだ?」
「後?」
ぎゃ!話に夢中だったから、ベーコンが卵の黄身の中に落ちた!変な味………。
「ああ。………アテムの時代、とか」
僕の箸が止まった。その時代は………。
「………。エジプトは、止めるよ」
「宿主……」
「だって、みんなに悪いじゃん。あの頃の、みんなに………。よし!18Cのフランスにしよう!」
「フランス、か………」
よし、そうとなれば、僕の記憶にある全てを書きださないと!っとその前に、朝ごはんを食べて。
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