Memory

□五日目
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ごめん、遊戯君………。

「どうしたんだよ、了!」
「………………」
僕は黙って、バクラをあの店から遠ざけていた。だって………。
ここは彼らが来ないメイドカフェに入ろう。さっきチラシでもらったメイドカフェへと向かった。
「お帰りなさいませご主人様♪」
可愛らしいメイドさんが、僕らを出迎える。そして席に案内してもらって。取り敢えず落ち着く。
「で、どうしてあいつから逃げたんだ?」
「………」
言えない。だって彼はファラオの………………
「………ま、了が言いたくねーなら、無理に聞かねーけどな」
そう言って僕の頭を優しく撫でる。
本当に、バクラは優しい。記憶がないからか、とても優しい。
だから、絶対にエジプト展には行きたくない………!

あれから適当に何か飲み物だけ頼んで、バクラと話をした。



そしてメイドカフェを出て、次に何処に行こうか、悩んでいた。だって、僕、そこまで秋葉原に詳しくないよ………………。
「了、何処に行くんだ?」
「ん〜、どうしようか………………」
もう、特に行く宛てもない。なら、家に帰ろうか………。
「帰る?」
「了が帰りたければ」
「なら、帰ろう?」
手を差し伸べて、バクラと手をつないで、帰宅することにした。




はぁー、やっと帰って来られた〜!
「ただいま〜」
「………只今」
さて、まだ2時か………。
バクラは、………。うん、ちゃんと手洗いうがいをしてるね。
僕はキッチンの方で洗った。

バクラはあの格好のまま着替えずに、テレビをつけて、立ったまま見ていた。
またあの、エジプト展………、いや、今度は、エジプトについての、………………
『今夜8時58分から放送です!ピラミッドについての新たな情報です!』
よりによって今日………………。流石に、テレビを消す事は出来ないね。
どうして君は、エジプトに釘付けなの………………
やっぱり、記憶が………………

「………………なあ了、俺ってさ………」
「………」
「本当は、人間じゃ無いんじゃねーか?」
「えっ?」
「だって、電車も車も冷蔵庫も電子レンジも、何も知らなかったんだ」
「………ちっ違うよ!君は記憶を無くしたんだ!本当は何でも知ってるんだよ!!」
そう、全て……………。



バクラのあの言葉が、僕の頭から離れなかった。

『本当は人間じゃ無いんじゃねーか?』

本当は、そうだよ。君は、大邪神ゾーク・ネクロファデスの………………

あーもう止め止め!こんな考え方!忘れよう!!


こんな時はコンビニにシュークリームを買いに行こう!
「バクラ!コンビニにアイスとか買いに行こう?」
「ん?ああ」
テレビを消し、先に玄関に行くバクラ。僕も財布だけ持って、後から追いかける。
シュークリーム買って、アイス買って、お菓子買って………。バクラのために、いろいろ買おう♪

まだ夏休みは始まったばかりだし。バクラと一緒に僕にしか出来ない、僕にしかない、バクラとも思い出を、作って行こう。

後宿題を手伝ってもらおう………。高2になっても宿題が出るって、酷いよね。
宿題なんて要らないよーー!




END
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