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□七日目
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やっと海に着いた!
人はそれなりに居た。僕らは人込みを避けるように、岩場の方へと向かっていた。
「何か、想像と違うな………」
「そりゃ、そうだろうね」
日本の海は、ね。
不思議だよね。同じ地球上でも綺麗な海はとても綺麗で、汚い海はとても汚くて。地球が誕生した頃は、やっぱり綺麗だったのかな………………?なら、人間がどんどん汚していったんだね。
本当、一体何が正義なんだろうね。
っと、あれ、バクラは………………?
あ、いた。少し遠くの岩場に立っていた。どうしたんだろう………?
「どうしたの?バクラ」
「了、こいつ………」
バクラが指を指していた方向を見てみると、人が倒れていた。しかも彼は………………
「嘘………」
岩場に倒れていたのは、彼だった。
そう、盗賊王バクラだ。
「何で……………?」
「こいつ、どうして了と同じ顔なんだ……?」
「………………」
「了?」
僕は怯えていた。バクラと出会って七日目で、今度は盗賊王と出会うなんて。
「……………了、大丈夫だ」
そう言って、僕を優しく抱き締めるバクラ。
「バクラ………。取り敢えず、この人を」
そう言いかけた時、彼は起き上がった。
「!!」
びくっとしてしまい、バクラを突き放してしまった。
「此処は………………。お前たちは、一体誰だ?」
「それはこっちが聞きてえよ」
僕の前に出るバクラ。
「バクラ!」
「バクラ?………俺と同じ名前」
それは分かってる。けどバクラは驚いた顔をしていた。
「てめぇ、それはどう言う………」
「それよりも、ここは何処だ?」
「えっと、日本だよ」
「日本?………俺は一体、どうして………」
「とっとにかくここに居たらまずいから、付いて来て!」
僕は盗賊王バクラの手を取って、そこから歩いて行って、バス停の所に行った。
バスの中では大変だった。みんなひそひそと、盗賊王バクラの事を話していたし。中には僕に聞いてくるお年寄りもいた。僕は笑いながらエジプト展の人って言って通した。



やっとの思いで、家に着いた。
「はぁー、長かった……………」
「おい、靴を脱げよ」
「………」
盗賊王バクラに命令しているバクラ。何だか変な光景。
「上着を貸して?」
黙って脱いで、僕に上着を渡す彼。うーん、盗賊王バクラじゃ、長いしね……………。呼び方どうしようかな。バクラじゃ、二人ともバクラだし………………。
「おい、付いて来い」
バクラに任せて大丈夫だね。さて僕は、後で彼をお風呂に入れなきゃ。取り敢えず洗おう。




湯船を洗い終わって、僕はリビングに向かった。すると、彼はバクラと何か話しこんでいるようだった。彼はソファーに座っていて、バクラは立っている。
「なら貴様は、古代エジプトから来たと言うのか?」
「ああ。………一つ聞いてもいいか?どうしてお前は、俺をこの家に連れて来てくれた奴と、同じ顔をしているんだ?」
「………さあな」
「そうか」
大体話し終わった所で、僕は二人の前に現れた。
「えっと、まずは君の呼び方を何とかしなきゃな………」
「そうか、こいつもバクラか……」
そうなんだよ、バクラ。
「どうしようか………」
う〜ん、名前………………。
「………………………」
「?どうした、了」
「ごめん、全然思いつかない………」
「まあ、だよな………」
ごめん。けど、決めないと、呼びづらい………。
「うーん、………盗賊王バクラ。盗賊王。バクラ、バクラ君、ばっくん………?」
「それは、良くねえだろ」
「だよね………」
じゃあ、本当にどうしようか………。
「………………なあ了。そいつが、本当の“バクラ”何だろ?なら俺の名前を変えればいい」
え?何言って………………。
「奴がバクラなんだ。だから俺は、………」
「何言ってるんだよ!君もバクラだよ!!」
「了………」
「なあ、二人とも。別に俺様の名前なんて、何でもいいぜ?………もめないでくれよ」
「ごめん………。………………(遊戯君のように、呼んでみても、良いよね)盗賊王バクラは、バクラって呼ぶ。で、こっちのバクラの事を………もう一人の僕って呼ぶよ」
「………………了がそれでいいなら、俺はそれでいい」
「何だ、結局同じ名前のままか。別に他の名前でも、良かったんだけどな」
良く言うよ。絶対君、嫌がるよ。僕が一瞬考えた名前なんて。


ん?僕が、バクラに付けたかった名前?エジプトの、美しいを意味する、ネフェルって名前を付けたかったんだ。
多分嫌がるし、慣れないよね。

きっと、これで、良かったんだよね。






END
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