月花物語

□五、厄介な存在
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「……は?」
「だからぁ、千鶴が皆と一緒に出るって言ってるから、和音もどうだって聞いてんの!」



藤堂が怠そうに説明するが、和音はイマイチよくわからないといった怪訝な顔で片方の眉を吊り上げる。


「なんで私が出るんだ?」
「だーかーら!あーもう面倒臭ェー!つか、なんで留守番組の俺が説明しなきゃなんねーんだよー!」



年が近いからである。




ちなみに和音と一番親しい原田は、このとき出陣の準備で別の場所にいた。







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「まあ私が行く意味もわからないけど、面白そうだから行ってみたい」
「遊び半分で行くなっての……」
「あーわかったわかった。何かの役に立ちたいから行ってみたい」
「…………ま、土方さんにはそれで通しておいてやるよ……」







なんというか。


藤堂は和音が苦手である。まあ決して嫌いだというわけではなく、例えるなら土方や山南のような意味あいで苦手なのである。


会話が簡単でないところとか、話しにくくて仕方がない。





おかげで池田屋で負った怪我に更に精神的疲労を上乗せしてしまった。




いろんな意味で、頭が痛い。







「待て、藤堂」
「……平助って呼んでくんない?なんか堅っ苦し……」
「で、藤堂。出陣って言っても何しに行くのかわからないから、詳細と、あと何を用意すれば良いのか教えてくれ」
「……」



無視された。



「皆の役に立つために、しっかり準備しないとなっ」
「……」



嘘つかれた。






「……和音」
「ん?どうした?」
「俺、やっぱお前苦手だわ」
「え、私なんかしたか?なんかしたなら悪かったな。反省するよ。悔い改めるよ。ごめんねー」
「……お前、もしかして俺のこと嫌い?」































……まあ、そんなことはない。それは事実である。


どちらかと言うと、弄り甲斐があって楽しいなあと、気に入っている部類である。













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