月花物語
□六、正体
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「……」
「な、なんだよこれ……」
「……」
「……和音、お前がやったのか」
髪色が白くなった者の残骸。赤く染まった瞳孔は、完全に開いていた。
その中心に、和音は、驚愕と放心の様子で立ち尽くしていた。
「おい、和音」
「……」
原田が問いかけ、斎藤と土方が現状を見守る中、和音は小さく息を吐くように呟いた。
「…………なんで……?」
「?」
やっと放心状態から解放されたらしい和音は――
――振り返り、土方に掴み掛かった。
「……っ、何しやがる」
「土方、答えろ」
「……」
尋常でない剣幕。放心からは解放されたが、まだ混乱状態であるらしい。
「なんで……なんで新選組に、羅刹が居るんだ!」
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