月花物語

□五、厄介な存在
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御所に攻め入ろうとする長州勢を追い返すため、会津潘お預かり新選組の名のもとに出勤、ということらしい。




で、今和音は原田と共に、公家御門に向かっていた。


「にしても、所司代のやつ頭堅かったな。私に言われたくはないだろうけど、もうちょっと融通聞かせてくれても良いんじゃないのか?」
「まあ、情報不行き届きはしかたねえだろ。つーかお前さっきからそればっかだな」
「腹、立つだろ?」
「ま、気持ちはわかるけどな」




本来ならば、怒るべきは和音ではなく原田の方である。が、まあ、原田は和音のそれについては特に気にしていないようだった。




それよりも、もっと気になることがある。


「和音、大丈夫か?」
「なにが?」
「さっきからうちの隊士がお前について変な噂してるぜ。気にならないのか?」
「ああ。何故か、原田の妹ってことにされてるな。しかもとんでもなく原田が好きなことになってる」





和音は普段は部屋から顔を出さないので、隊士も和音の存在を不思議がっている。


兄が大好きすぎて、ついてきてしまったのだと解釈されているようだ。






「ま、いいだろ。馬鹿は放っておくのが一番だ」
「馬鹿って……一応俺が育てたんだが」
「気にするな。お前は変態だ」
「お前、まだそれ言ってんのか?もう随分前のことだろ」
「……それはさておき」






公家御門に到着したが、どうやら雲行きが怪しいようだった。


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