月花物語
□六、正体
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「さて、洗いざらい話して貰うぞ」
「……」
「和音、てめぇいったい何者だ。何故羅刹を知っている」
「……」
和音が羅刹を目撃したのと同じ日、山南が変若水を飲むという事件が起きた。
山南の事件には千鶴がその場に居合わせた。これは新選組にとっては最悪と言える事態だと言える。
二人の居候に、同時に秘密を知られてしまった。
以下、和音が立ち会った事件の回想である。
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土方から、羅刹が逃げ出したとの連絡及び抹殺命令が出た。
その際に、和音が突然屯所を飛び出て行ったので、何事かと追ってみたら――
――この始末、である。
「式神が何かに反応して、私はこいつを追いかけて羅刹を見つけたんだ。だから、陰陽師の名義で化け物狩りをしていた。何かおかしいか」
「……おかしくないと思っているのか」
その場に居るのは土方と和音、それから後ろに斎藤が鎮座している。
逃げようとしたら即排除、ということだろう。
「……わかった全部話す。話すから睨むな」
「……」
和音は何処からというわけでもなく、一瞬で短刀を手に取っていて、
その短刀で、容赦なく自分の手のひらを貫いた。
「――っ…」
「お、おい、何して……」
「はっ、要らない心配だな。黙って良く見てろ」
言われずとも、視線はそこから離れてはいない。
刃を抜いたその手の傷は、数秒後には綺麗になくなっていた。
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