月花物語

□七、恐れるもの
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「トシ、彼女はどうする」
「……探すに決まってらぁ、近藤さん。だが参ったことに、居場所の見当がまるでつかねぇ。今山崎君に島田君、それから巡察がてら、平助と斎藤に捜索を頼んでるが」
「そうか。一刻も早く見つけるべきなのだろうが、何しろ京は広いからなあ。俺が探しに行きたいものだが、山南君がああなっている手前、どうも動き辛い」
「チッ。厄介な事件が二つか……。伊東派の連中が感づかなきゃ良いが」
「そうだなあ……。せめて屯所がもっと広ければ、少しは現状もマシになってくれるものだろうが、まあ、そう簡単にはいくまいな」
「……それか」



西本願寺に屯所が移転した件の、そのきっかけに当たる会話である。





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