AMNESIA
□過去と未来と
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「んっ、ゃあ・・トーマ 苦しっ」
9月6日、いつもの昼下がりのこと。
マイは幼馴染であるトーマの部屋に遊びに来ていた・・はずだった。
「え?あぁごめん、ついね」
「っもう、ついじゃないでしょ!!」
二人で紅茶を飲んでいたところ、トーマがいきなりマイにキスをしだしたのだ。
もちろんマイとてトーマとのキスが嫌いなわけではない。
(むしろトーマとのキスは・・す、好きだし)
一人で赤面する。
何を言っているのか、何を考えているのかマイにはもはやわからない状態だった。
「何お前、何か変なこと考えてたの?」
「ち、ちがっ」
ぶんぶんと首を振るマイにトーマは慈愛に満ちた目でマイを見つめる。
昔からマイは可愛かった。
それが年を重ねるごとに美しく、綺麗になっていく。
それがトーマを切なくさせた。
マイは美しい故に、綺麗故に。
自分の手には抑えられないという気持ち。
自分を兄と慕っているマイに気を使わせたくない気持ち。
それらが積み重なり、トーマへと圧し掛かっていた。
「若かったなぁ、俺も」
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