CLOCK ZERO

□変わらぬものを
1ページ/2ページ



「おい、早く帰るぞ」

「ちょっと待ってよ理一郎、今日は持ち物がいっぱいなんだから」


(相変わらずね・・)


今日は1学期最後の日である。
故に荷物がいつもより多くなってしまったのだ


「何で最終日にためるんだよ
計画的に持ち帰ったほうが楽だろうが」


「う・・」


反論できない自分が悔しい

持ち帰るのが面倒だったわけではない。

ただ、
CZのメンバーで会話をしていたり、
活動をしていたら帰るのが遅くなってしまって大変だった・・だけだ



「ホントに馬鹿だな。」

「そ、そんなに言わなくていいじゃない

それに、大変だなって思ってるなら、
手伝ってくれてもいいじゃない」



はぁ、とため息をつく


こんなことを言っても絶対に手伝ってくれないのが理一郎だ。

どうせ
「面倒くさい」
とか言って終わるんだろう・・・

そんなことを考えていた。




「ほら」

「・・・・は?」


「もってやるから、荷物よこせよ」


もちろん目の前にいるのは理一郎で、
いつもと何も変わらない理一郎のはずなのに



「えっ・・えぇ!!?
り、理一郎どうしたの!!?」


当然疑問になる



今日はいつもより暑いわけでもなく、
むしろ夕方の風が心地よいと言ってもよいだろう

理一郎の頭が沸いてしまったとは考えにくい



「ねぇ、理一郎。今日何か変なものを食べた?」

「何だよ突然」


「たとえば央からもらった食べ物を食べた・・なんて事ないわよね?」



「あるわけないだろ。
食べた時点で俺の意識があるとは思えない」



何を言っているんだこいつはという目で見られてしまう


「持たなくていいのか?それなら別にいいが」

「あっ、ううんこれよろしく」

「結局持たせるのかよ・・」


ポツリとつぶやく理一郎がおかしくて笑ってしまう。



今日の理一郎は本当におかしい
いつもより優しくて、穏やかだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ