CLOCK ZERO
□愛した人はもういない
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「鷹斗・・嫌よ、私は戻らないから!!」
叫ぶ声は、彼に届かない。
それどころか彼が嗅がせた睡眠薬のせいで頭がクラクラする。
「あなた、私と生きてくれるんじゃなかったの・・・!」
「ごめん」
「好きだって・・言って・・・
一緒に生きるって約束したのに」
「恨んでいいよ、俺のこと」
恨めるわけがない。
もうすでに、こんなにも愛してしまった人を恨むことはできないし
そもそも彼が壊れてしまった原因は私なのだから。
「嫌・・元の世界に戻ったら鷹斗に会えない・・のよ?」
カプセルの中で、声にならず嗚咽だけを漏らす
「世界なんて、壊したくなかった」
あなたはそういいました。
だけどごめんなさい。
そんなあなたを作ってしまったのは私です
「あの世界の俺のこと、大切にしてほしいな」
「そん・・・な・・の」
駄目だ、意識がハッキリしない。
私が最後につぶやいたのは、彼への謝罪と彼への告白。
そして、私が意識を失う前に見たものは
この世界の泣いている王様でした。