BROTHERS CONFLICT
□愛せと、神は言った
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あんなもの、見に行くんじゃなかった。
軽い気持ちで市役所に行き、自分の戸籍謄本を見た。
〔養女〕
どうしてもその言葉が信じられない。
自分が、日向麟太郎の実の娘でない。
だが、本当にショックだったのはそれを隠されていたということ。
(結局、どこにいても邪魔なのか)
朝比奈家では、ここ最近ぶつかりがおきている。
それが自分のせいではないと言い切れない絵麻にとっては、苦痛の何者でもなかった。
(これからどうしよう・・もうあのマンションにはいれない。
パパにもきっと会えない。
誰も・・・・・・・誰も、いない)
急に孤独感を感じる。
辺りはもうとうに暗く、電柱の明かりくらいしかなかった。
(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
こんなとき、前ならあの人の名前を呼べた。
あの声で安心して、
あの腕に包まれて、
あの力で抱きしめてくれる。
「要さ・・・・・」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
要side
「っはぁ、はぁはぁ
どこだ、絵麻!」
かれこれ1時間、俺は絵麻を探していた
いけるところはすべて探した。
自分の中で、まずは冷静になれという言葉が聞こえてくるが生憎そこまで出来た大人ではなかった。
胸騒ぎがする。
あの子は、時々ものすごく儚くなる
いつも笑顔で、芯の強いくせに時々もろくなる
おれは、それが心配だった。
男が軽い力で押しただけで、
それだけで消えてなくなりそうな弱さ。
だが誰もがその儚さに悶え、恋に落ちた。
「待ってろよ、絵麻」