薄桜鬼

□守るべきもの3
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4日後、私は部屋の外に出て夜を楽しんでいた。

月が雲で隠れてしまっている。
辺りなんて真っ暗で、人がいるかなんて判別できないくらい暗かった。



「千鶴、少しいいか?
ちょっくら話したいことがあるんだが。」


「あれ?原田さんですか?
よく見えましたね、私のこと」

「あぁ、そんなちっせぇ背丈のやつなんかお前以外になかなかいねぇからな」


「ふふっ」


お互いの顔は見れない。
ただ、原田さんが近くにいることだけはわかる


よかった。
やせ細ってしまったこの身体を、今は誰にも見られたくない。



「土方さんからの仕事はまだこねぇのか?」


「そうですね、あと1週間は許してもらえそうにないです。」


「無茶すんなよ、お前は女なんだから」


「・・わかってます」


〔女〕だから。
なんどその言葉をきいただろう。




「そいや、明日松本先生が健康診断にくるんだとよ。
さすがに羅刹の診断はできねぇが、千鶴の診断は近藤さんが認めていた。
明日は自室で健康診断だと」



「本当ですか!?」

「あぁ、身体が冷えちゃいけねぇから今日はもう帰れ。またな、千鶴」


「おやすみなさい」


背を向けた原田さんの身体は、やはり逞しい
男の人なんだと、改めて実感する。



自室に戻り、布団に入る。

松本先生になんと言われるだろうか。

体調管理をしっかりしろと、怒られそうだな・・

そんなことを考えて、私は眠りについた
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