薄桜鬼
□守るべきもの4
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「土方さんよ、少し千鶴と話していいか」
「あぁ」
それから少し離れたところで、私は原田さんと二人きりだった。
私はただ涙を流しているだけで、しゃべることは出来なかった。
「泣くなよ、千鶴」
「っふ・ぅう、ごめっ・・・さ」
私が謝ると、原田さんは私の手を取って優しく包み込む。
「ごめんな、謝んのは俺のほうだ。
お前が羅刹になるまで、傷つくまで、何もしてやれなかった。」
「そん・・なこと」
「挙句、ほれた女が心の重荷でやせ細っちまう始末だ。後味わりぃや」
零れ落ちた涙を原田さんは指の腹でぬぐう。
優しすぎるその手は、とても暖かかった。
「また、会えますか?」
そんな事は誰にもわからない。
ましてこの時代だ。
何かがないことなんてありえない。
「あぁ、いつかお前を迎えに行くからな。
待ってろ。」
「私が、」
「?」
「私が原田さんを迎えに来ます。
健康な身体で、羅刹に負けないようになったら。」
「・・・・待ってる」