薄桜鬼
□守るべきもの4
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「千鶴が江戸に行って、もう2年か」
ポツリと、平助がつぶやく。
「時の流れは早いものだな。
元気にしているだろうか」
「わかんないよ、一君。
もしかしたら千鶴ちゃんは僕たちと知らない男と契りを交わしているかもしれないし・・」
「羅刹の力を使って・・て可能性もあるわな」
少しの沈黙が訪れる。
「あれ、そういうば左之さんは?」
「酒を買いに行くといっていたが・・」
「じぃさん、団子1つ頼むよ」
「はいよ、何だお前さん。あいまいな顔しやがって。
せつねぇんだか悔しいんだか人間っぽい面ぁしてやがる」
ハハっと笑う原田は、もちろん千鶴のことを忘れたわけではなかった。
昔、千鶴とよく食べにきていた団子屋に来て団子と茶を食らう。
「うめぇな・・」
味など変わらない。
変わったとすれば、隣にいる存在がいなくなってしまったことだ。
「こなくそっ」
もう慣れたと思っていた。
隣にいないことを覚悟して、千鶴を江戸へ帰したのだ。
(ガキくせぇな・・・俺も)
「ごちそうさん、また食いにくるからよ」
「あいよ。
あんさん、雨は必ず止むんだぜ」
ふっと、じぃさんの言葉が耳を掠めた
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