薄桜鬼

□笑う君が、眩しかった
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「沖田さん!おはようございます」

そう沖田に挨拶をしてくるのは他ならぬ千鶴だった。
新撰組の中に女は存在しないはずだが千鶴は新撰組の秘密を知ってしまったが故、軟禁されていた。


(ほんと、運のない子だよねぇ)


「おはよ、千鶴ちゃん。これから朝ごはんを作りに行くの?」

「はい!!今日の当番は原田さんとで・・」


そういって顔を少し赤らめる彼女に、僕は少しだけ意地悪をしたくなった。


千鶴ちゃんが左之さんを好いているのはわかっている。それはあえて口にせずともわかりきっている事だ。



「ふぅーん?僕の当番のときはそんなにうれしそうに見えなかったけど?」

わざと遠回りな言い方をして千鶴ちゃんの行動を見る。


すると少し焦ったように弁解をしだした。


(へぇ、恋心を隠しておかなくちゃいけないって事は自重してるんだ)


そんな千鶴に沖田は少し感心した。


千鶴は男装をしているとはいえ、中身は年頃の娘だ。

想い人がいても可笑しくない年頃の上、結婚して子供を生んでいても可笑しくない。



「ま、僕には関係ないことだけどね。
君が左之さんを慕っていたって、バレなきゃいい話なんだから」



「おっ、沖田さん・・」



何か言おうとする彼女を背に、僕は歩き出した。
傷つく前に、傷つける。
幼い頃に習慣となったその技は、未だに消えることはなかった。
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