無気力少女の、恋物語。
□03.スパルタ家庭教師
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さてはともあれ。
いろいろなことがあった昼休みが終わり、五時間目が終わり、六時間目が終わり、放課後はやってきた。
人がたくさんいた教室は10分ほどで空になり(部活行く人やら進学校なので勉強しにすぐ帰る人やら)、教室には私と緑間くんが残された。
高尾くんというと「二時間後に部活来ていいから、じゃーね、真ちゃん」と言って嵐のように去っていった。
「天野。明日数学の小テストがあるだろう。数学をやるのだよ」
『あっ、うん』
私と緑間くんの席はかなり近いので、というか後ろと前なので自分の席に付いて後ろを向く。
数学のワークを開けて解き始めれば緑間くんも教科書を開けて勉強を始めた。
私、すっごく今更思ったんだけど…緑間くんと話す話題が全くない。というか接点が…あんまりない。
そんな風に沈んでいれば、どんどん数学を解くのがいやになってきて私は問題を解くのをやめた。
「……なんだ、わからないのか?」
『あ、いや…飽きた……』
「……………」
しいん、と教室が静まり返る。あれ、私地雷踏んだ?
「勉強とは楽しくないものなのだよ。」
『…はい』
「だからこそ努力をする価値があるのだよ」
『……はい』
「飽きる飽きないは関係ないのだよ」
『………はい』
「何か意見は?」
『…………ありません』
「なら勉強を続けるのだよ」
ダメだ、緑間くんスパルタだった。
いかにも努力しない人嫌いっぽそうだもんなー、私なんてモロ嫌われそう。
今まで何年間って続けてきたものとか一つしかないし。そのたった一つのものでさえ、今は続けることを辞めてしまったというのに。
「そこの問題はこの公式を使うのだよ」
『え、あ、うん。こう?』
「そうだ。」
私が解いた問題があっているとわかると、緑間くんは自分の教科書に視線を戻る。
静かな教室。はずまない会話。
なのに、なんでだろう、すごく心地いい。
「……なんだ、そんなにジロジロ人の顔を見て。」
『んーん、なんでもない』
ひどく、懐かしく暖かく思うのはなぜだろう。
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