無気力少女の、恋物語。
□05.二回目の放課後
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…………やってしまった。
緑間くんが部活に行ったあと少しだけ寝る予定だったのに。かれこれ2時間は寝た。爆睡してしまった。
やばい、もう辺り真っ暗だよ〜〜〜!
ふと体育館を見ればまだ明かりがついている。
緑間くんは、まだバスケをしているのだろうか?
行ってはいけない、そう分かっているのに私の足は体育館へと向い出したのだった。
*
ダンダンッ
そんな音が聞こえる。あのバッシュ特有の音も聞こえる。
ドキドキうるさい胸を抑え、私はひょこりと体育館を覗いた。
そこにいたのは、緑間くんただ一人。
一人で3Pの練習を重ねていた。
何度見ても綺麗なフォーム。見とれてしまう。
あんなに真剣にバスケをするんだ。あんな表情もするんだ。
そして、なんといってもシュートの入ったときの少し嬉しそうな顔。
バスケが楽しいという想いがこちらにまで伝わってくる。
誰もいない体育館。きっとみんな他の部員は帰ってしまったのだろう。
それでもなお、努力を重ねる緑間くんを私は美しいと思った。
「天野……?」
『っ!』
びくり、と私の肩が跳ね上がる。緑間くんにバレちゃった!
どうしていいか分からず、いい言い訳も浮かばなかった私は全力でその場を後にしたのだった。
二回目の放課後
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