ハトアリ長編夢

□第二章
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大きな門があり、その前に見知った顔がウロウロとしている。



『ゴンベイ!!』



ぱっとこちらを見たと思ったらすごい形相で走ってきた。



『鬼だ!鬼がでたぁぁ!!』


「誰が鬼か!!あれほど離れるなって言ったのに!!こんの・・・迷子めっ!!」


『す・・・すんません。』



怖い。この人怖すぎるよ・・・。


視線を感じてふと横を見るとボリスが僕を見ながらにやにやしている。



『笑うなしっ!』


「いやー・・・そうだろうなぁとは思ってたけど、やっぱりナナシノが迷子だったか」


『うるさい!違う、断じて迷子なんかじゃない、僕が迷っているのは人生という名の迷路だけだ!』


「それのが駄目だしっ!」



「・・・あれ?その人・・・」



僕がボリスと言い争ってると、横でポツリとゴンベイが呟いた。



『あぁ、森で会ったボリスだよ。ボリス、こっちがさっき言ってた黒髪ロングのゴンベイだよ。』


「やっぱりそうか。私はゴンベイ。ナナシノをここまで連れてきてくれてありがとうね。」


「気にしなくてもいいよ。あんたも余所者なんだな。俺はボリス、よろしくな。」



握手をかわし、にっこり笑いあう。



「あぁ、そうだ遊園地に行きたいって言ってたけど、今日は休園日だけどどうするんだ?」


『え、まじか!オーナーさんに挨拶しとこかなって思ってたんだが』



それは困った。 バイトすることも考えて遊園地内も見て回りたかったのに。



「あぁ、オーナーなら休園日でも会えるぜ。案内してやるよ。」


そう言うとボリスはスタスタ歩いていく。


オーナーに会えるのは良かった。ボリス様様だ。


しばらく歩いて一つの部屋の前でボリスは止まった。


何て言うか門を抜けてからずっと思っていたことだが・・・ 明るいな。色が。
目が覚めるような水色と黄色。それがここの印象。


ボリスはノックもせずにガチャっとノブを回し部屋に入っていった。


慌ててそのあとについていく。



「ボリス!人の部屋にはいってくるときはノックくらいしやがれ!」



部屋にいたであろう人はボリスの背中で見えないがご立腹のようだ。



「まぁまぁ固いこと言うなよ、オッサン。今日はオッサンが好きそうな子連れて来たんだ。」


「好きそうな子?」



ひょいっとボリスの後ろにいた僕たちを覗き込む・・・・これまた変な服着たオッサン。


何か色んなところがありえない。



『みつあみ・・・』



思わず呟いたらゴンベイがふきだしそうになるのを堪えていた。



「こいつら・・・余所者か?」



どうやらさすがのオーナー様は僕たちが余所者だと言うことを一瞬で見破ったらしい。


少し感心しながら



『ナナシノです。これから少しの間この世界でお世話になります。よろしくお願いします。』



と愛想のいい笑顔で挨拶した。



「ゴンベイです。よろしくお願いします。」



こちらも負けず劣らず愛想のいい笑顔で挨拶。


オーナーにはいい顔しとかないと言うゴンベイの案だ。



「俺はゴーランドだ。よろしくな。」



変な髪形&服のオーナーは人の良さそうな笑顔で返してくれた。


少し策士っぽいなと思いつつもここでバイトするのも悪くないなと思う。



「滞在先は決まったのか?もし決まってないようだったらここに滞在していけよ。」



ニコニコと笑いながら提案してくれて、なかなか魅力的だったが如何せんもう滞在先は決まってしまっている。



「ごめんなさい。滞在先は決まってるの。」


「そうかーそれは残念だ。じゃあ今日は休園日だが、また開園してるときにでも遊びに来てくれよ。余所者はフリーパスだからな、いつでもタダで遊びに来いよ。」


「はい、是非」



そう言って遊園地を出る。


その瞬間昼間だった空が星空の輝く夜空になった。


あぁ、綺麗な星だなぁ・・・って違う違う!何で夜空?普通夕方からじゃね?



『ゴンベイ!空の色がかわった!!!!』


「あーそうだね。ここは昼夕夜がめちゃくちゃだから。」


『何でそんな冷静?!』



こっちはなかなかのパニクりようなのにゴンベイは至って冷静だ。



「ゲームしたことあったら分かることだよ」



そう言ってゴンベイは時計塔に戻る道をスタスタ歩いている。


こんな夜道に迷ったら絶体絶命だから急いでゴンベイのあとをついていく。


これから僕たちはどうなっていくんだろう。
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