ハトアリ長編夢

□第三章
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顔が真っ赤なナイトメアを面白がって見ていたらみるみるうちに顔が赤から青にかわった。



「う・・・・吐血する・・・・・」



言ったと同時にゴホゴホッカハッッ!!!と素敵な声と共に目の前が真っ赤になった。



手を押さえたが防ぎきれなかった血が顔に飛んだということを理解したのは3秒後のことだった。



『んぎゃぁぁ!!顔に飛んだぁぁ!!』


「ゴホゴホ・・す・・・すまない」



本当にすまなさそうにナイトメアが血の付いたハンカチで顔を拭いてくれようとしている。



・・・いや、血の付いたハンカチてどうよ。もっと汚れそう・・・・。



『いいよ、僕も持ってるし。それはナイトメアが使って。』




「君は・・・思っていることと言っていることがちぐはぐだな・・・」



ナイトメアは泣きそうな顔でこっちを見ている。



『ごめんごめん、ついね。』



自分のハンカチで顔を拭きつつナイトメアの背中をさする。


ナイトメア辛そうに僕の肩口に顔を埋めている。



「ハァ・・少し落ち着いた。すまない、ありがとう。」



顔を見るとさっきよりは顔色もマシになったようで少し安心する。



『それにしても、吐血する夢魔て・・・』


「私は病弱な夢魔なんだ。」


『びょうじゃくなむま・・・・それってなかなか個性的だね。』


「いいだろう?キャラが被らなくて。」



誰も被りたくない。



「私だって好きで病弱なわけじゃないんだ!」


そりゃそうだ。だったら病院行けばいいのに。


「病院は嫌だ。行きたくない。」


なんて我侭な人だ。


「我侭なんかじゃない!私は夢魔なんだから行きなくていいんだ!」


どんな理屈だよ。 もうくだらなさすぎて会話するのもメンドクサイ。



ナイトメアはまだぎゃあぎゃあ言っているがまた顔色が悪くなってきた。



『あぁ、もうそんな大声出すからまた顔色悪くなってきたじゃん。ちょ、こっちおいで。』



手招きするとナイトメアは素直にそばに来た。


さっきのように正面から抱きつく形になりつつ背中をさすってやる。



「君にさすってもらうと・・・何だか気分がすごく楽になるよ。」


『そう?なら気分が悪いときはいつでもこうやってさすってあげるよ。』



何だか放っておけない人だ。


ナイトメアは僕の中でそうインプットされた。



しばらくそうしているとナイトメアはぽつりと呟いた。



「そろそろ起きる時間だ。」



そう言うと僕の意識がだんだん薄れていく。


完全に意識がなくなる前にナイトメアは念を押すかのように言った。



「必ず・・・小瓶の中身を飲むんだ。」






『はっっ!』



ガバッと起きると、そこは見慣れない天井だった。


そうか、ここはユリウスのいる時計塔だ。


理解すると同時にゴンベイに声をかけられた。



「おはよ、ナナシノ。何かえらいうなされてたけど、大丈夫?」


『え??』


「何か血がぁ〜血がぁ〜とかって」



・・・・苦笑いしかできない。


でもそれで思い出した。小瓶の中身を飲まなくては。


ベッドのそばに置いてあった自分の鞄を漁ると中から香水でも入ってそうな綺麗な小瓶が出てきた。



『これだな。』


「・・・・飲むの?」



飲もうとしたが声をかけられたので振り向くとゴンベイが少し寂しそうな顔で僕を見ていた。



『飲むよ。ゴンベイはこれが何が分かるんだね。』


「うん。まぁでも仕方ないかぁ〜ナナシノが飲むんだったら私はそれに従うよ。」


『どゆこと?』


「何でもない。ほらっ早く飲んだ飲んだ!用意して今日はまた違うとこ行くよ〜!」



疑問に思うこともあったが急かされたので中身を一気に煽る。



『うぅおぇっっ!まずっっ!!!』



予想以上にまずい。何じゃこれー!
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