ハトアリ長編夢

□第三章
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第三章〜夢、そしてゲームの始まり〜



緑や黄色、青や赤の色々な色が混ざった空間に僕は立っていた。


地面なんてものはないけれど、ちゃんと地に足をつけているのだからきっと立っているのだろう。



ここは・・・夢?それにしてははっきりしている。



「そう、ここは夢だよナナシノ」



空間のどこかから声がした。



「はっきりしていても、起きたらおぼろげにしか覚えてない」



そう言うと声の主は僕の目の前にすっと降りて来た。


随分と顔色の悪い人だ。今にも倒れそう。



「倒れたりしないよ。顔色が悪いのはもともとだ。」


『え?僕声に出してた?』



無意識に声に出してたのだろうか?



「いや君は声に出してないよ。私はナイトメア、夢魔だ。私は人の心が読めるんだよ。」



それはまた・・・難儀な。



「ん?どうしてだ?」


『人に聞かれたくないことだってあるでしょう。』


「ふむ、あるだろうな。しかし私には全部分かるが。」


『それが難儀なんだよ〜』


「そうか?しかし私には聞こえるのだから仕方がないだろう」


『ナイトメアも大変だね。聞きたくないことだって聞こえるんでしょう?』



僕なら耐えられない。聞かれるのも嫌だが、聞く方はもっと嫌だ。



「・・・君は不思議な子だな。初対面でそうやって言われたのは初めてだよ。」



本当に不思議な子だ。心が聞こえると言われて真っ先に考えたのがそれだなんて。



『そういえば、僕の名前はナナシノ。よろしくね、夢魔さん』


「あぁ、こちらこそ」


『そういえば、何でナイトメアはここにいるの?僕の夢だよねぇ?』


「私は夢魔だから夢は私の世界みたいなものなんだよ。それはそうと、君のゲームはまだ始まっていないみたいだね。」


『ゲーム?』


「そうゲームだ。この世界の人々は全員ゲームをしている。君もゲームに参加しなくてはいけないんだよ。」


『僕もゲームに参加するの?誰かと戦うなんて絶対無理だよ』



戦いに参加したら一発で死ぬ。誰よりも先に死ぬ自信がある。



「どんな自信だ・・・大丈夫、君のゲームはこの世界から帰るか帰らないかだから。」


『帰るか帰らないか・・・そんなん帰るに決まってるじゃないか。』



ゲームなんて無意味だ。僕は帰らなくてはいけない。



「まだ君のゲームは始まってないからね、朝起きたら元の世界から持ってきた鞄の中を覗いてごらん。液体の入った小瓶が入っているから。それを飲んだらゲームスタートだよ。」


『飲まなかったら?』


「ゲームは始まらないし、君も帰れない。」


『よしきた、飲む。朝一で飲む。』



そう言うとナイトメアは笑った。 笑うとまた男前なんだなー抱きつきたいなー。


なんて思っていたら、みるみるうちにナイトメアは顔を真っ赤にさせた。




『あ、心読めるの忘れてた。』


「君はっ女の子だろう!女の子がそんなこと言うもんじゃない!!」



『言ってないですー思っただけですー』





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