Above the Clouds vol.2

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またリビングに1人になったルイは、ソファにもたれて、ため息をついた。
―お昼は、感情的になってナギに告白してしまいましたが、もしキスまでの関係にしたいと言ったら、彼は了承してくれるのでしょうか・・?
ナギは、僕が誘わない限りは手を出さないと言ってくれましたが、ずっとそれを言わなかったら、ナギはどう思うのでしょうか・・?―
ネガティブに考え出すと、ルイは考えが止まらなくなる。
―ナギの接し方を見ていると、僕を実は女性だと思っているのではないかと思うこともあります。もし、カラダを見られたときに幻滅されたら・・。
それに、僕の"カラダの仕組み"を見て更に幻滅されたら・・。ナギに見捨てられるのは怖いんです・・。やっと得た居場所を失うのは嫌なんです・・。
長年、築いた関係が壊されたりしたら・・僕は・・―
ルイはそう思いながら、走馬灯のようにナギとの思い出が蘇る。そして自然と目から涙が零れていた。
―告白なんて、するんじゃなかった・・―
自分が行った失態に、ルイは心底後悔した。涙は止まることを知らない。
「う・・っ・・ひくっ・・」
―ナギが戻ってくる前に、涙を止めなければいけませんね・・。涙を止める魔法もあれば良いのに・・―
ルイはそう思いながらも必死で涙を止めようとするが、そんなルイの気持ちとは裏腹に、次々と涙が零れていく。その時、風呂から出てきたナギが目を見開いた。
ルイは父親であるジェームズのせいであろう、彼は天界に来たときには既に情緒不安定になっており、それは今でも変わらない。
こんなルイをナギはもう数え切れぬほど見てきているが、それでも慣れることはなかった。
「おい、ルイ!どうした?!」
慌ててナギはルイに駆け寄り抱きしめた。
「ナギ・・見ないで下さい・・。こんな・・っ」
完全にパニックに陥っているルイに、ナギは強く抱きしめる。
「俺が、何かお前を傷つけることを言ったか?!さっき、お前の声がエロいとか言っちまったことか?!もしそうだったら謝るから!」
「・・僕を・・嫌いにならないで下さい・・」
ナギが察していたこととは違うようだ。また、更に悪いことを考えていたのだと察したナギは、優しくルイの髪を撫でた。
「ルイ、取り敢えず落ち着け。どうした?何を考えてた?」
取り敢えず、自分が優しく声を掛けなければルイも落ち着かないと思い、落ち着いた声で優しくそう問いかけた。
ルイも落ち着いてきたようで、ようやく肩の力が抜けていく。ルイは意を決して口を開いた。
「・・ナギは・・もし僕が、キスだけの関係にしたいと言ったら・・嫌ですか・・?」
「何で、そんなことを言うんだ?」
そう要望があるなら、何か理由があるに違いないと思い、ナギはルイの髪を撫でたままそう尋ねた。
ルイは、実は女性だと思われていて、カラダを見たら男性だという現実を突きつけられて幻滅されてしまうかもしれないということ、
そして"カラダの仕組み"を見て更に幻滅をさせてしまうのではないかということを話すと、ナギはため息をついた。
「おいおい、どんだけ恐ろしいことを考えているのかと思ったら、そんなことかよ」
「僕にとっては・・そんなことでは、ありません・・」
少し不貞腐れた声で言うルイに、ナギは軽く笑った。
「そうだな、悪かった。でも俺は、ぶっちゃけルイを女だとも、女扱いしてるとも思ったこともねぇぜ?
まぁ、確かに"お前を護る"ってよく言ってるし、男のお前からすると、あまりいい気はしねぇよな・・。
でもよ、今日だってルイは俺をクレアの攻撃から護ってくれたじゃねぇか。カッコ良かったぜ」
初めてナギから"カッコ良い"と言われ、ルイは少し俯いた状態で軽く微笑んだ。自然と涙も止まっている。
「そうだなぁ。・・じゃあ今後は、俺はお前を護るけど、お前も俺を護ってくれよな」
ナギがそう言うと、ルイは小さく頷いた。
「分かりました・・」
「あと"カラダの仕組み"って、開発されてるってことだろ?そんなことは最初から知ってるし、さっきのキスだけでも十分に分かった」
キスだけで分かるとは、何人も経験がないと分からないことだ。ルイは不審そうにナギを見つめた。言い難そうにナギが真実を伝える。
「えーっとだな。俺、実は53年前からずっと、週1回ソープに通ってんだよ・・」
53年前にルイと出会った当時、ナギには天界に彼女が居た。だが、ルイに一目惚れをしてから、一気に彼女に対する熱が冷めてしまったのだ。
その状態で彼女と付き合っていても相手に申し訳ないと思い、ナギから別れを告げた後、ずっとルイ一筋だったために女を作らずにいたが、
その1ヵ月後には結局性欲が溜まってしまい、自己処理では物足りなくなったためにソープに通うようになったのである。
「・・・・」
知りたくなかった事実を聞き、ルイは俯いた。それを見て、ナギは焦る。
「いつも真夜中に行ってたから、ルイは気付かなかっただろうし、そういうのって好きな奴には何か言いたくなくてよ・・。
俺も男だから、女を作らなかった代わりに通わざる得なかったっつーか・・。だからもう、お前が居るからソープは二度と行かねぇ!約束する!」
―要するに僕が誘なければ、ナギはまたソープに通うということ・・ですよね・・―
ルイはそう思うと、自らパジャマのボタンを外した。予想外の行動、そして肌蹴ていく白い肌を見て、ナギは目を見開く。
「おい、ルイ?!何やって・・」
「僕のことを幻滅しないのであれば・・抱いてください」
「・・・・!」
下を向いたまま恥ずかしそうに要求するルイに、ナギは目を見開き心臓の鼓動が大きく高鳴った。ずっと視線が露になった白い肌に向いている。
「あ・・あのな・・誤解されてる気がするから言っておくが、別にルイとヤれないなら、またソープに通うとかねぇからな?!」
「・・そうなのですか?」
「そうなのですよ!だから今は無理せんでいいぞ?」
取り乱しているナギは、ついルイの言葉に釣られてしまった。性欲を必死で抑えながら、ルイに気遣う。
「無理はしていませんよ。・・ナギは、どうなのですか?その・・シたい・・ですか?」
自分ばかり気を使わせてしまい、ルイはナギの本音を聞きたかったのだ。
「当たり前だろ!俺基準だと、絶対毎日ヤッちまうから決定権をルイに委ねてるんじゃあねぇか!」
ナギがそう答えると、ルイは彼の首に腕を回して口付けてきた。
まさか、ルイからキスをされるとは思っていなかったので、ナギは一瞬目を見開いた後、目を閉じてルイの口内に舌を挿入させた。
水音が聞こえてくると、ナギは欲望が抑えられなくなった。
その時、ルイが唇を離すと吐息混じりにナギの耳元で囁いた。
「・・抱いてください」
「・・・・!!!」
ナギは目を見開き、自身がマグナムになったのを感じた。
本当はその場で押し倒したかったが、先ほど由宇が夏樹を強姦していたことを思い出すと、ルイを軽々と抱きかかえて寝室へ移動した。
そして優しくベッドに寝かすと、ナギはルイの上に覆い被さって優しく抱きしめた。
「あのよぉ・・優しくするけど、痛くしちまったりしたら言ってくれよな?」
「大丈夫ですよ。ナギなら全て受け入れますから」
ルイは優しく落ち着いた声でそう言いながら、ナギを抱きしめ返した。ルイのその声と感触が、ナギの精神を安定させる。
そしてナギはルイにまた口付けながら、ルイのパジャマを左右に広げると乳首に触れた。ルイはビクッと体を震わせる。
「ん・・っ」
触れただけで声が出てしまうほどとは、やはり開発されている故なのかとナギは思ったが、それ以上にルイの甘い声に反応し、あまり深く考えることもなかった。
ナギはルイから唇を離すと、首筋に強く口付けた。明らかに、Yシャツを着ていても見える位置だ。
「ナギ・・」
「キスマークも、ルイの承諾を得た方が良かったか?」
「・・いいえ。大丈夫ですよ」
ルイがそう言って軽く微笑むと、ナギは鎖骨や乳首の横、内腿などにも計5箇所キスマークを付けた。そしてナギは改めて、ルイの露になった上半身を眺める。
月の光に照らされたルイの体は、より官能的に見えた。
―何だろうな、こいつのカラダ。男でも女でもない、こいつならではの色気があると言うか・・。すっげぇ不思議な感覚だ―
そう思いながら、ナギはルイと肌を直接触れ合いたいと思い自身のパジャマを脱ぐと、ルイのパジャマにも触れる。
脱いで欲しいと言うサインだと察し、ルイも身を起こすとパジャマを脱いだ。正面からナギのカラダを見たのは初めてのルイは、自分とは全く違う綺麗に付いた筋肉を見て見惚れてしまった。
だがそんな時間も一瞬で、ナギはすぐルイの右の乳首を舐め、左の乳首をこねくり出した。
「あ・・ナギ・・っ!」
―おいおい、名前を呼ぶのは反則だぜ。しかし、ルイの肌は真っ白で綺麗だよな―
ナギはそう思いながら更に自身が反応したのを感じた。本当はもう少し楽しみたかったところだが、全く余裕がなくなったナギは、ルイのパジャマのズボンを脱がすと、下着越しに硬くなったソレに触れる。
「あ・・っ!」
「すっげーガチガチじゃねぇか・・。シミついてるし。しかしルイってどんな下着を穿いてるのかと思ってたけど、ボクサーだったんだな。
豹柄なのは意外だけどよ。・・丈が少し短めだし、勝負下着ってことか?」
そう言いながら、ナギはボクサーの丈が短い故に既に見えているタマに触れた。ルイは恥ずかしくなって目を閉じて顔を背ける。
「・・っ!言わないで下さい・・」
「似合ってるぜ」
「・・・・!」
ルイは目を見開き、一気に顔を熱くした。そしてナギは下着を脱がせると、ルイは恥ずかしさのあまり少し過呼吸になる。
「最初は、ルイの感じてる顔を間近で見てぇなぁ」
「え・・」
ナギの突然の言葉にルイが小首を傾げると、ナギは自分のズボンと下着を脱いでルイの上に覆い被さると、右手で自身とルイのを同時に掴んだ。
それ故に、2本のソレがピッタリくっついた状態になる。ルイはまたピクッと体が跳ねた。ルイの反応が可愛くて、ナギは彼に見惚れながら、いつも自分でヌいている感覚で同時に扱き出した。
一緒に2本のソレが擦りあい、更に快感が増す。ナギは、もう片方の手でルイの乳首を撫でる。
「あ・・あぁ・・ん・・っ・・ナギ・・っ!・・気持ち・・いいです・・っ」
「俺もだ、ルイ・・っ」
今までもナギは、数えきれないほどルイを想いながらヌいて来たが、想像以上に色っぽい表情にナギは本気でルイの顔だけでヌけると思った。
その時ふとナギは、ルイが生前時にしょっちゅう、ジェームズにこのような姿や表情を晒していたのかと思うと怒りが沸いた。
―もう絶対、誰にもこんなルイを見せねぇ!ルイを抱いて良いのは俺だけだ!―
扱きながら、ずっとルイの顔だけを見つめながらナギはそう誓った。
「は・・ぁ・・あ・・っ・・ん・・っ・・ナギ・・好き・・大好きです・・っ」
「俺も大好きだ・・!俺には・・お前だけだよ・・っ!」
「僕もです・・っ」
涙を浮かべながら積極的に言ってくれるルイが嬉しくて、ナギも本音が漏れた。互いに我慢汁が溢れてきたため、扱いていると水音が聞こえてくる。
「あ・・っ・・ナギ・・も・・っ・・出てしまいます・・っ」
「・・っ・・一緒に・・いこうぜ・・」
ナギはそう言うと、扱くスピードを更に早めた。
「ナギ・・っ!あ・・っあぁ・・ああぁあぁっっ!」
「く・・ぁ・・っ!」
ナギとルイは同時にイくと、ルイの腹に2人分の精液が付いた。ナギは息を整えながら掌からティッシュを取り出すと、すぐ精液を拭き取る。
「どうだった?」
好きな人とするのは53年ぶりだったナギは、精液を拭きながら何となくルイの感想を求めた。
「気持ち・・良かったですよ・・。僕・・本当は・・セッ○スってあまり・・好きじゃないのですが・・こんなに・・良かったと思ったのは・・初めてですよ・・」
―そうだろうなぁ。強姦ばっかされてたんじゃ、好きになれるわけねぇよな―
自分より他人を優先させるルイの本音を聞けて、更に自分とのセックスは良かったと聞いてナギは安心した。
ルイの腹と、2本のソレに付いた精液を全部拭き取ると、やはり今日はこれ以上ルイに体の負担をかけたくないと思い、ナギは口を開いた。
「なぁ、ルイ。やっぱり今日は・・」
「・・・・」
ルイの顔を見た瞬間、彼は寝息を立てて気持ち良さそうに眠っていた。
ナギは軽く笑うと、ウエットティッシュを掌から取り出して、ベタつかないようにルイの腹を拭いてやると2人で布団に入り、そのまま彼を優しく抱きしめ、暖かい肌が触れ合う心地よさにナギも眠りに付いた。
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