Each life

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食後、カイトとレンは寮を出て登校していると、
ロングヘアーでツインテールのロイド学園高等部の制服を着た女子高生が、
逆方向に走ってきた。
「あ、ミクさん。おはようございます」
「おはよう、ミクちゃん」
二人はミクと呼ばれた女子高生に、逆方向に走っているにも関わらず、
何の躊躇いもなく気軽に挨拶をした。
「あ。始音先輩とレンくん、おはよう」
軽く息を切らせてミクが笑顔で挨拶を返した。
「毎日、クオくんのお迎え、大変だね」
「ううん。あたしが好きでやってることだから苦にならないよ。じゃあね」
そう言いながら、ミクは幸せそうな笑みを浮かべ、また男子寮へと走っていった。
朝、走って男子寮の門まで双子の兄を迎えにいくミクの姿は、
毎日恒例でロイド学園の生徒の間では有名である。
レンは歩きながらカイトに声をかけた。
「ミクさん、いつも走って迎えに行ってて偉いなぁ。雨の日も走ってるし」
「1秒でも早く、クオくんに会いたいんだろうね。
あんなに好かれてるクオくんは幸せ者だよ」
そう言いながらカイトは微笑んだ。レンはそれを聞いて、もし自分が女だったら、
カイトに少しでも早く会いたいと思い、きっとミクと同じ行動を取るだろうなと感じた。

レンが、そんなことを思いながら歩いて5分後。女子寮の門の前で、
リンが両腕を組んだ状態で待っていた。
「レーンーっ!来るの遅いんだけど!女子を待たせるなんて最低!
カイトも一緒にいながら遅れるとか信じられないっ!」
リンは2人の顔を見るや否や、甲高い声でそう喚くと、レンが小さい声を発した。
「…ミクさんの爪の垢を飲ませてやりたいよ」
「えっ?!何か文句あんの?!」
リンがそう言いながら、レンを思い切り睨み付けると、彼は俯いてしまった。
「いえ…何でもありません…。ごめんなさい…」
「ふんっ!」
リンの機嫌が修まらず、レンは顔を青ざめた。
「リンちゃん、今日は遅れてしまって本当にごめんね。明日は、もっと早く来るから」
反省した面持ちだが、優しい声でカイトが言うと、リンは少し頬を赤く染めた。
「…じ…じゃあ、お詫びとして、リンにイケメンを紹介してよっ!」
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