Each life

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「よっ!レン。また同じクラスか」
クラス表を持ちながら、レンが教室に入ると、
レンより身長の低い男子がそう言いながら駆け寄ってきた。
「ネロくんと一緒のクラスで良かったよ。リンとも一緒だし。
知らない人ばかりだったら、どうしようかと不安だったんだ」
人見知りであるレンは、リンやネロと同じクラスであることを心底安堵していたのだ。
リンの名前を聞いたネロが、レンに小声で質問した。
「なぁ。鏡音の好みのタイプって何だ?」
「えっ?!ぼ…僕は、年上で優しい人かな…って、べ…別にカイトさんのことを
言ってるわけじゃないからな?!」
赤面させてノロケるレンに、ネロは深くため息をついた。
「はぁ…。お前じゃねーよ。姉貴の方だ」
「え?ネロくんって、リンのこと好きだったの?」
ネロはいつも、リンのことをからかっているだけだったので、まさか好意があると、
レンは思わなかったのだ。図星のようで、ネロは赤面させる。
「ちっ…ちげーよっ!ただ、何となく聞いただけ…
っつーか、質問すんのに深い理由なんかあるかよっ!取り敢えず教えろっ!」
取り乱しながらネロが催促する。レンは言いにくそうに答えた。
「…リンが好きなタイプは…」
「リンが好きなタイプは、年上のイケメンで身長175センチ以上で、
手足が長い人が好きなのっ!即ち、アンタとは別次元の人ってことよ!」
レンの後ろからリンが彼の代わりに答えた。
「くっ…出やがったな、鏡音!お前みたいな顔も性格もブスな平ら胸を
イケメンが相手にするわけねーだろっ!現実を見やがれ!」
そう言いながら、いつものようにネロが逃げようとしたが、
リンは追いかけようとせずに立ち止まったままだ。
顔を見ると、リンは涙を浮かべて体を震わせ、ネロを睨み付けていた。
「…あ…」
ネロが流石に言い過ぎたかなと内心、反省をしていた瞬間だった。
「良いもん!今度、カイトにモデルでイケメンを紹介して貰うって約束したんだからっ!
絶対付き合ってやるんだからぁっ!」
リンはそう言い放つと、走って教室から出ていった。
「リンっ!」
レンが声をかけて追いかけようとすると、ネロが彼の肩を掴む。
「今の…本当か?」
「…本当だよ。今度、リンはカイトさんに男性を紹介して貰うんだ。
…それより…あまり、リンを傷つけるようなことは言わないでくれよ…。
ネロくんを嫌いになりたくないんだ…」
「レン…」
ネロは力なくレンの肩を離すと、レンはリンを探しに行った。
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