Each life

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―和の妖精って、どういうことだよ―
レンがそう思って引いている隣で、リンが目を光らせていた。
「和の妖精とか素敵すぎるけど!」
そう絶賛しているリンに、レンは口をポカンと開けた。
―リンちゃんが一発で、がっくんのネタにノッてくれるとは思わなかったなぁ―
カイトは驚きながら、引いたままのレンを見る。
―リンちゃんも、レンくんみたいなリアクションを取ると思っていたよ―
相変わらず、レンは付き合ってられないと言わんばかりの表情を浮かべていた。
そんなレンには視線も向けず、がくぽは得意気な表情を浮かべる。
「そうだろう?俺様ほど、イケメンで素敵なメンズはいないな!」
「分かるーっ!」
「そしてリンほど、可愛くて素敵なレディもいないな!
俺様たちは、この世で最も素敵なカップルなのさ!」
「えーっ!」
リンは、そう言いながらも笑みが止まらない。
「…いつ、カップルになったんだよ…」
自分に酔ったがくぽと、完全に乗せられてるリンのやり取りに、
レンは引きながら小声でそうツッコミを入れると、カイトが隣で彼の腰を突っついた。
「ごめんね、がっくんは"こういう人"なんだ。悪意とかは、ないんだよ」
「ん…」
レンは元気なく頷いた。こんなんでもカイトの友人だ。
探せば良いところがあると、レンは信じた。
「さあさあ、君たち!そんなとこにずっと突っ立ってないで、座ると良い!
勿論、リンは俺様のとな…」
「はいはい、がっくんの隣は俺が座るからね。リンちゃんはレンくんの隣に座って」
調子に乗っているがくぽを、カイトが阻止した。リンは「はぁい」と言って、
がくぽの向かい側に座る。そんなカイトの言葉が気に食わないがくぽは、
隣に座った彼を睨み付けた。
「何で、貴様が俺様の隣に座るんだ。俺様は男に興味無くてだなぁ」
愚痴を言うがくぽに、カイトは微笑んだ。
「初対面の女子中学生の隣に、がっくんを座らせるなんて危険なことが出来るはずないだろ」
―目が笑ってねぇ…。こういう面するときのコイツには流石の俺様も逆らえねぇんだよな…―
がくぽは、そう思いながら舌打ちをした。
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