Above the Clouds vol.1

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朝。亮は起床すると、大きなため息をついた。
―ルイが天界に戻ったってことは・・もう・・二度と会えないのか・・―
そう思うと、亮は目頭が熱くなったのを感じた。
―くっそ・・!胸が締め付けられるように痛い・・!―
「亮!起きてるなら早く支度をしなさい」
突然、部屋のドアを開けた母親にそう言われ、亮は胸の痛みが消えないまま、無言で制服に着替えた。



亮が俯きながら登校をしていると、後ろから背中を叩かれた。だが、亮は無反応だ。
「おっす、マメ太!どうした?朝っぱらから、母ちゃんに怒られたか?」
「・・・・」
ヘラヘラしながら、奨が話しかけてきたが、亮は彼の顔を見ずに俯いたままだ。
どんなに凹んでいても、奨が話しかければ相手にしてくれる亮が無視をするだなんて初めてのことだったので、奨は余程のことかと思い心配になった。
「もしや、母ちゃんに合コン行くの止められたか?」
「・・・・」
「おい、マメ太!何ずっと、黙ってんだ?!俺にも話したくないことなのかよ?!」
気が短い奨は、頭にきて両手で亮の肩を掴むと、彼を無理やり自分の方に向かせた。
「亮・・お前・・どうしたんだよ・・」
予想外の出来事に、珍しく奨は亮の名前を呼んでいた。それもそのはず、亮が珍しく泣いていたのだ。
「何でもねぇ・・」
「何でもねぇわけねぇだろ!お前が泣くなんて滅多にねぇことじゃねーか!余程のことがあったんだろ?!なぁ!」
「うるせぇ!女を取っかえ引っかえしてるようなお前には、好きな奴に二度と会えなくなった俺の気持ちなんか分かんねーよ!」
「お前、好きな奴がいたのか・・」
亮の口から初めて聞いた言葉に、奨は何処となくショックを受けた。
つい本音が出てしまった亮は気まずくなったと思い、力が抜けた奨の手を振り払うと、走って学校へ向かった。



昼休み。奨に会いたくなかった亮は、自分の席で昼食を取ろうと思ったが、いつも学食なので食堂まで買いに行かなければならない。
渋々、亮は財布を持って席を立ち、教室から出た瞬間、後ろから腕を掴まれた。
「おい、マメ太。お前、俺を避けてるんじゃあねぇだろうな?」
「別に、そんなんじゃねーよ・・」
気まずい表情を浮かべながら、亮は奨から目を逸らす。
「ちょっと、こっちに来い!」
「何すんだよ!俺、まだメシを食ってねーんだよ!離せ!」
亮はそう言って抵抗するが、力では奨に勝てるはずもなく、そのまま奨に引っ張られてしまった。
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