Each life

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今日から新学期。朝日が部屋にさし、小鳥の囀りも聞こえる。
まだ7時なのだが、男子寮では朝練がある生徒は、既に次々と門から出て行っていた。
その男子寮の一室。大音量のスマホのアラームでレンは目が覚めた。
「んー煩いーっ!まだ7時じゃないか!」
力なく苛立ちながら、レンはアラームを切ると、また寝ようとした。
「レンくん、今日から新学期だよ。しかも今日から学食だから早く行かないと
好きな食べ物がなくなってしまう」
隣のベッドで寝ていた、ルームメイトのカイトが上半身を起き上がらせながら
レンに声をかけると、彼は完全に目を覚ました。
昨日までは春休みだったのだが、カイトとレンは寮に残っていたのだ。
だが、長期休暇は基本、エアコンが止まるため帰省する生徒の方が多く、
食堂は栄養士が運動部は皆、合宿に行ってしまうので付き添いで着いていってしまうのだ。
そのため、昨日まで2人はカイトのバイト先であるコンビニ弁当を食べたり、
ファミレスやファストフードで食事、そんな生活の2人を哀れに思い、
時々は彼のバイト先の店長である、メイコの手料理を作って貰ったりしていた。
「あ、そうだった!早く支度しなきゃ!」
本当は、そのまま急いで食堂へ向かいたいのだが、
寝間着やジャージで食堂に入るのは禁止とされているので、
2人は洗顔し、制服に着替え、学生バッグを持った。
朝食が済んだら、そのまま学校へ直行出来る状態にする。
支度が終わり、2人は急いで食堂に向かった。

食堂に着くと、既に3分の2の席が学生で埋められていた。
朝食はバイキング制なので争奪戦なのだ。
食べ盛りの男子ばかりが集まっているので、栄養士もそれなりの量を作るのだが、
それでも人気のあるメニューは追い付かないことがある。
レンはまず、アイスのコーナーに直行した。
「あった、バナナアイス!」
中々、店には置いておらず、しかも栄養士お手製のバナナアイスは、
食堂でも月1回出るか否かというほど、レア度が高く、
しかも美味しいと生徒に人気のメニューの1つだ。
残り2つでレンは嬉しそうに、カイトの分も一緒に取った。
「カイトさん!バナナアイス、ジャスト2個だったよ!」
レンは満面の笑みを浮かべながら、既に食べ物を取って席を取っているカイトに言った。
カイトのプレートにはアイスが3つも乗っているが。
「良かったね。あ、俺の分も取ってくれたんだ。ありがとう、レンくん」
「…アイス4つ食べれる?」
「うん、大丈夫。アイスなら幾らでもいけるから」
「それならいいけど、お腹壊さないでよ?」
アイスのことになると、自我が止まらなくなるカイトに、レンは心配そうに声をかけるが、
カイトは「大丈夫だよ」と言って、結局アイスも全部食べてしまった。


to be continued
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