Each life

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レンは屋上前の出入口まで行くと、リンが階段に座って泣いていた。
「やっぱり、此処か」
レンが声をかけると、リンは涙を拭いて彼を見つめた。
「現実を見ろ…か…。相手が20代じゃ、リンなんかガキにしか見えないよね…。
ガキ扱いされて馬鹿にされるくらいなら、さっきの話は断ったほうが良いかな…?」
すっかりネガティブになってしまったリンに、レンは事実を聞いて少し考えこんでしまった。
「…でも、変わってると言っても、カイトさんの友達だし、そんなこと思う人じゃないと思うよ」
「そうだよね…」
リンが肩の力を抜き、ようやく涙が治まると、チャイムが鳴った。
「あっ!チャイム鳴っちゃったよ!今日から担任が折原先生だよね?!急がないと!」
担任の折原臨也は、現在24歳の若手教員だ。
リンとレンが1年のときは臨也も教師に成り立てだったために、
当時中3だった不良たちにナメられていたのだが、
その不良男子は"圧力"で潰して退学にし、不良女子の携帯を全て踏み潰して破壊したという
"学内伝説"を持つため、1年でロイド学園中で"絶対に逆らってはいけない教師"の一人とされている。
しかも、生徒相手にそこまでのことをしたにも関わらず、
臨也側には何故か何の処分もなかったという。
その"学内伝説"を起こした翌日も、何食わぬ顔で通勤し、
いつもと変わらず授業を行っていた。
そのため生徒の中には、学園の上層部と臨也の間に、
何らかの繋がりがあるのではないかと感じている者もいる。
「スマホを踏み壊されるのだけは嫌ぁっ!」
リンとレンは同時に目を見開き、急いで階段を下りて行った。
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