Each life

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夜。夕食や入浴を済ませ、パソコンの中の楽譜と睨めっこしているカイトに、レンが声をかけた。
「カイトさん。明日会う人は、変わった性格って言ってたけど、どんな人なの?」
レンの声に、カイトは視線をレンに向けて言い難そうに口を開いた。
「…彼はナルシストで俺様タイプなんだけど、好きな子を大事にする人だよ」
それを聞いて、レンは眉を寄せた。
「それじゃ明日もし、その人がリンのことを気に入らなかったら、
ただ罵られるだけで終わるかもしれないってこと?」
「それはないと思うよ。実は以前、スマホに貼ってるレンくんとリンちゃんと
俺で撮ったプリクラを、その友人に見られたことあってさ、
その時からリンちゃんのことを気になってるみたいで、
よく紹介してくれって頼まれていたんだ」
「そうなんだぁ…」
リンに彼氏が出来るかもしれない。初めてのことに、レンは微妙な心境にいた。


翌日。レンは、白のロゴTシャツに黒のハーツパンツを身につけ、
じと目のまま姿見に映った自分を見ていた。
「どうしたんだい?レンくん。そんな顔をして」
「僕、オシャレな服を持っていないんだよね…。相手がモデルの人じゃ、
絶対馬鹿にされちゃう…」
「俺だって全然オシャレじゃないから大丈夫だよ。男には何も言わない人だからさ」
水色とブルーのチェック柄Tシャツにデニム姿のカイトが、そう言って宥める。
「うんっ」
レンはそう言って元気よく頷いた。

何時ものように、カイトとレンは女子寮の前でリンを待って5分後。
白ベースにオレンジの花柄のミニワンピに、オレンジの花が2つ付いた
ウェッジヒールのサンダル、そして同じ柄のリボンバレッタを
右のこめかみ付近に付けた、リンがやってきた。
「ごめーん、待ったぁ?」
レンがリンの胸に視線を向けて目を見開いた。
「リンに胸があ…ぐはぁっ」
レンが言い終わる前に、リンが彼の頬をぶん殴ったのだ。
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