Above the Clouds vol.1

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―昨日は、あの暗い場所に居たから一瞬のキスしか出来なかったけど、他の場所で会って、もっと長くキスしてくれって言ったら、
アイツはしてくれるんだろうか?それに、ルイの手に触れただけで、あんなに精神が落ち着いたんだから、他の部分を触れたら、
どうなるんだろう・・って、何を考えてるんだ、俺はァァッッ?!―
亮は混乱し始め、自ら机にガンガン頭をぶつけて我を取り戻そうとした。
「立川。授業を受ける気がないなら、教室から出て行ってもいいんだぞ」
教師の声に気付いて亮は周囲を見ると、周囲から白い目で見られていることに気付く。
「・・すみません。授業、真面目に受けます」
「・・それじゃあ続けるぞ。教科書81ページを開いて」
―そうだ。授業を真面目に受けない奴なんて、ルイは嫌いじゃあないか?―
亮はそう思い直すと、その後の授業は真面目に受けた。



昼休み。
亮は、奨といつものように屋上で学食のうどんを食べた。奨が亮に声を掛ける。
「そういえば、マメ太ってどんな子がタイプなんだよ?明日から合コンの声かけするつもりでいるからさ、一応参考にしておこうと思ってよ」
もう、奨の中では亮がOKしていることになっているようだ。
「・・綺麗で、上品な雰囲気で、言葉遣いも綺麗で、礼儀正しくて、賢くて、穏やかで、優しい子」
「へぇ・・そう・・なんだ・・」
それを聞いて、奨は視線を斜め下に向けた。自分の反応を修正するかのように、奨はわざとテンションを上げる。
「何、お前って絵に描いたようなオジョーサマタイプが好きなわけ?!ハードル高すぎだろー!俺の知り合いで、
可愛くて我儘で金持ちのオジョーサマはいるけどよぉ」
―まぁ、これに当てはまる"お嬢様"は、一般庶民が通う学校には基本入れないよな。でも、幅広い付き合いがある奨すら居ないタイプとは、
ルイって本当は凄いとこの人なんじゃ・・―
亮はそう思うと、少しだけ奨に勝ったような、得をしたような気分になった。
「なぁ、どっか妥協できねぇか?全部当てはまる子は流石に無理だ!」
―ということは、奨が知ってる中で、ルイに勝てる女子はいないってことか―
「例えば?」
「綺麗で礼儀正しくて優しい一般人の子なら知ってるぜ!賢いって程ではないけど、まぁそこは普通だな!」
「ふーん」
「何だよ、釣れねーなぁ。でも確かその子は、結構ストライクゾーンが広かった筈だから、マメ太クラスなら行けると思うぜ!」
―へっ・・俺クラス"なら"か・・随分と、ナメられたもんだな。まぁ、このナリじゃ仕方ねぇけど―
そう思ってから、ふと亮は疑問に感じた。
―しかし気になるな。ルイみたいなタイプは、奨すらも出会ったことがないんじゃ、もしコイツがルイに出会っちゃったら、どう思うんだ?
ルイは男性よりも中性って感じだから、こっちがノンケどうこうって問題じゃあないと思うって、何を言ってるんだ、俺は!
寧ろ、出会ってルイが穢れたりした方が嫌だって・・!もう俺マジで、どうかしてる!―
「おい、マメ太?突然頭抱えだして、どうしたよ?今日のお前、変だぞ?」
「あのさ・・。もしもの話だけど・・」
「あん?もしも?」
「もしも、奨が綺麗で、上品な雰囲気で、言葉遣いも綺麗で、礼儀正しくて、賢くて、穏やかで、優しい男子と出会っちゃったら、
奨ならどう思う?くどいようだが、もしもの話だからな?」
「は?お前の好みの野郎バージョンってことか?うーーん。どうだろうな?そいつが、女みてーな顔だったら、行けるかもしんねぇぜ!
なーーんてな!」
そう言いながら、奨がゲラゲラと馬鹿笑いをする。
「嗚呼、そう・・」
―まぁ、コイツに限って心を閉ざすこと自体、永久に来ねぇだろうから大丈夫か―
亮は奨の楽観的すぎる性格を考えると、彼がルイに会うなんてことは決してないと思わざる得なかった。



授業中は必死で授業に集中していたが、それ以外は結局、ルイのことばかり考えていた亮は、帰宅しても彼のことばかり考えていた。
帰宅すると、パートに出ている母親は家に居らず、一人きりの家で亮は自室に入った。
『目を閉じてくださいね』
―あの言い方、何だよ!寧ろ、あんな言い方されて、何とも感じない奴なんか居るのかよ?!―
亮はそう思いながら、学生鞄を部屋の端に投げつけ、Yシャツを脱いでズボンも脱ぐと、自分のソコが勃起していることに気付いた。
―マジかよ、信じらんねぇんだけど―
どうせ、また少し放置していれば"元に戻る"だろうと亮は思い、ハンガーに掛かっている部屋着に手を伸ばしたが、
脳内で、ルイのその声が何度もループし始める。亮はボクサーパンツ1枚の状態でベッドに座ると、
パンツの間から自身を取り出して手を伸ばした。
―ルイに"此処触って"って言えば触ってくれるんだろうか・・―
普段、シコることに緊張も何もしないのに、今や心臓の音が脳内に響くほどだ。無我夢中で亮は自身を上下にシコる。
「ん・・っ・・ぁ・・っ」
"僕が見ているだけで、こんなに硬くなるのですか?"
"早いですね、もう汁が出てきていますよ"
無意識に、脳内でルイの"あの声"で言われているような錯覚に陥る。
「あ・・っ・・はぁ・・っ」
―俺、馬鹿すぎるだろ・・!何、妄想しちまってんだよッ!!―
「んんっ!・・あ・・う・・っ!」
自身の最高記録と言ってもいいほど、すぐに精液が出てしまった。
―男の声だけで妄想までしちまって、更に即出とか、最悪すぎるだろ・・―
舌打ちしながら、亮は予めベッド横に置いてあるティッシュを何枚も取って、汚れたソレを拭いた。
「・・そう言えば、テスト週間だったし1週間ぐらいヌいてなかったかもしれねーな。だから溜まってたんだ。そうに違いない」
亮は自分に言い聞かせながら、部屋着に着替えると、睡魔が襲ってきたようで、大きなあくびが出た。
―あー今日も何だかんだで疲れたからなぁ。30分ぐらい昼寝すっか―
そう決めると、亮はすぐベッドの中に入ると、すぐに熟睡状態に入った。



to be continued
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