BOOK
□お前の全て
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宴も終わり、アンナは今、甲板で月を眺めて座っている
本当は、リサも付いてくる筈………だったのだが飲みすぎて、部屋で完全に酔い潰れてしまったのだ
纏めていた、髪をほどき大きく息を吸い込み吐き出した
「綺麗な月だな?」
驚いて勢いよく振り返ると
壁に寄りかかりこちらを見るローがいた
『つくづく、悪趣味だね。ロー』
ローは、怪しく笑い
アンナの隣に座った
「あの、キャンキャンうるさいお前の番犬は、どうした?」
は?と、最初は疑問に思ったが
すぐに察した
『リサちゃんなら、部屋で寝てる。
お酒強くないのに、無理して飲むから……』
きっと、明日は二日酔いでおきれないよ、あの娘と、続けて言う
ローは、微笑みに近い笑みで、笑っている
『お酒だけじゃなくて、乗り物にも、弱いんだよ!初めて船に乗ったときは、何度も吐いたんだよ!あれには参ったよ、ホント…』
こんな事を言ったことが、リサの耳に入れば、きっと大目玉を喰らうだろう
アンナが、ソッとローの方を見ると
ローもこっちを見ていた
「俺は、うるさい番犬のことより、お前の事が知りてェなァ……」
表情に出さずアンナは内心戸惑った
が、すぐに淡々と答えた
『いいよ♪何が知りたい?』