BOOK

□主人公登場
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一方、ここは島の表側に位置する船。
遠目から島を見ると、街が見える。
その船の中を走り回る、オレンジ色の服を着た大きな白熊。手には、紙を持っている。



「キャプテーン、キャプテーン!」



そう単語を連呼しながら、船中の扉を開けては閉め、開けては閉めを繰り返す。どうやら、キャプテンを探しているらしい。
白熊が、一通り扉を明け終わると、白熊は近くを通りかかった白髪で、白い服を着た男を呼び止めた。



「バン、キャプテン見なかった?」
「あぁ、キャプテンなら甲板の方で、ペンギン達と話してた」
「わかった、ありがとう!!」



白熊はバンにお礼を言うと、甲板に続く扉まで走った。
目的の扉を目の前にして、白熊はガチャリとそこを開けた。
開けた先には、モコモコ帽子をかぶった男と、その人を挟むように白い服を着た二人組の男が立っている。



「キャプテン!」



白熊が一声すると、モコモコの帽子をかぶった男がこちらを見た。



「どうした、ベポ」



キャプテンが白熊…もといベポに聞くと、ベポはハッとして、キャプテンの両側にいた男達を交互に見た。



「話なら終わった。話せ」



ベポの言いたいことがわかったのか、キャプテンはそう言うと、ベポは駆け寄った。



「で、用件はなんだ」
「あのね今この島に、凄い賞金首が二人もいるんだって!!」



そう言って、キャプテンに持っている紙を渡した。
すると、隣の男達も気になるのか、キャプテンの横から顔を覗かせる。
キャプテンが左手にとった一枚は、黒髪の女性がこちらを睨んでいる。
右手にとった一枚は、白髪の少女がこちらを見てニッコリ笑っている。



「…なんつー額だ」



そう呟いたのは、二人組の男の一人。キャスケット帽をかぶった男。
そしてもう一人。penguinと書かれた帽子をかぶった男は、キャプテンが右手にとった一枚を指差した。



「こっちは、まだ子供じゃねェか?」
「確かに、見たところ15、16か?」



キャスケット帽の男が相づちを打つと、キャプンテンは鼻を鳴らした。



「アム・アンナに、エリアル・リサか」
「…キャプンテン、俺が毎日手配書を確認してるのは、知ってますよね」



キャプンテンが相槌を打つと、キャスケット帽の男が、首を傾げる。



「俺の記憶が正しければ、こいつらを見るのは初めてだ」
「!!」
「そうか…それでベポ、それだけか?」



冷静なキャプンテンを見て、キャスケット帽の男が声をあげた。



「船長、もっと驚きましょうよ!この子供、船長の倍はありますよ!?」
「…だからどうした」
「何言ってんすか、これからの航海を阻むかもしれない、卵っすよ!?」
「どんな相手だろうと、俺は上り詰める」



それを聞いたキャスケット帽の男が、ポカンと口を開けるなか、penguin帽の男が肩を叩いた。
無駄たがら、やめておけと言いたそうな目で…。


「話を戻すが…ベポ」
「うん、この新聞を見て欲しいんだ」



そう言い、ポケットから新聞を取り出した。
ポケットに入れていたせいか、クシャクシャな新聞を、キャプテンが開いた。



「ほう…」



キャプテンがそう呟くと、男達が先程と同じように顔を覗かせる。



「なっ!?」
「……これまたスゲェー」
「殺さずに捕まえたものは、賞金2倍…アム・アンナか…」
「さっき、後輩とお喋りしてたら、ニュース・クーが飛んできてそれを貰ったんだ。そしたら後輩がキャプテンに、見せたほうが良いって言うから」



だから持ってきたと続けるベポに、キャスケット帽の男がバカかと声をあげた。



「お前先輩だろ…んなもん、新人に行かせろよ」
「…バカでスイマセン…」
「打たれ弱っ!」


そんなベポ達を余所に、キャプテン達の話はどんどん進んでいく。



「この歳でこの額だとすると、相当ヤバいヤツかもしれませんね」
「ああ、それにこいつらは同時に名を上げたからな…もしかしたら、仲間かもしれねェ」
「確かに、十分可能性はありますね…どうします?一応、クルー達に気を付けるよう言いますか?」
「……………」



キャプテンは急に会話を遮断すると、ベポを呼んだ。



「お前は、何故こいつらがこの島にいると言った…?」
「あのね…先に島に偵察に行ったカゲロウが教えてくれたんだ。島にたくさん海軍がいて、新人の賞金首の女を探してるって」
「…海軍が動いてるなら、デマじゃなさそうだな」



キャプテンはそう言うと、先程ベポが入ってきた扉が、ある方に向かう。
キャスケット帽の男がどこに行くんですかと言えば、キャプテンは男達の方を見て、ニヤリと笑って見せた。



「その女に興味が湧いた。ベポ俺についてこい。あとのやつらはそれぞれの仕事に係れ」



キャプテンはそう言い残し、ベポの入ってきた扉を開けて、中に入っていった。
男達はそれを見ながら、やれやれとタメ息を溢したが、それも元気のいいベポの返事にかきけされた。
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