BOOK

□主人公登場
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『♪〜♪♪〜〜』



呑気に鼻で音楽を口ずさみながら、ソフトクリームを食べる、少女。
今度は何を食べようかと考えていると、後ろから人の気配がした。
それも一人ではなく、3、40人はいる。
路地裏に向かう道を見つけて、すぐさまそこに身体を回し、進んでいく。



『(どうせ、賞金首だな〜面倒だなぁ〜)』



なんて思いながらも戦闘準備を整える。
そのとき、リサとした約束がフラッシュバックする。
騒ぎを起こせば、晩御飯のデザートなし。




『…………フッ』



鼻で笑うと、握り締めていた拳を緩め、ダッシュでその場から離れた。
最初は賞金首も、突然逃げたことに驚いて呆気にとられていたが、すぐに正気に戻ったのか物凄い速さで追いかけてきた。



『(チっ、そのままアホ面かいてればよかったのに…)』
「待ちやがれ!!テメェ海賊なら正々堂々戦いやがれ!」



馬鹿みたいな大きな声で叫ぶ賞金稼ぎA。



『バーカ、逃げるが勝ちって言葉知らないのかい?このアホども』



そう言って挑発すると、賞金稼ぎ達は顔を真っ赤にして、更にスピードを上げて追いかけてきた。
いろいろな道をクネクネ、クネクネ…。



『(自分が進んでてなんだが…目が回りそうだ)』


今だに叫び続ける賞金首達を背に、この場を打開する案を、頭の中で練る。
だが、そんなこともむなしく…目の前は大きな傷だらけのコンクリートでいっぱいになった。


『ウワッヤベー…』
「へへ、行き止まりだな」
「観念しやがれ!!」



下品な笑いで、自分を見るその目に、少女は身が震えた。



『(キモい…こんなやつらを相手しなきゃならないなんて、今日はついてないよ)』



がっかりしたタメ息を吐いて、賞金首達に笑みを見せた。



『いいよ…相手してあげる』
「小娘が、図に乗るなよ!!」
「やっちまえェ!」



賞金首達が一斉に、少女に飛びかかる。



「"room"」



一言声が聞こえたかと思うと、少女の目の前の賞金首達が、一人残らず青いサークルの中に入っていた。
そして次の瞬間、賞金首達の身体はバラバラになっていた。
だが、切り口からは血が出ず、切られた本人達も驚いた声で喋っている。
少女はその光景に思わず、目をぱちくりさせた。



「おい、大丈夫か?」



さっき聞こえた声と同じ声に、少女は声が聞こえた方を見る。
そこには、白いモコモコ帽を被って、長い刀を持った男がいた。
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