BOOK

□お前の全て
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自分の部屋の前に戻ってきた アンナ

部屋の中に入ると、リサが
ベッドに寝そべり、横目でこちらを見ている
(無理言って、同じ部屋にしてもらった)



『ごめんねェ、起こしちゃった?』



[………えらい、ご機嫌やなぁ……]



そう?と、聞き返しながら、自分のベッドに
座る



『……嬉しい事が、あったんだ……』



目線すらあっていないが、これ程嬉しそうな声を聞くのはいつぶりだろう、と思うリサ
アンナは静かに、窓の外を見ている



『(初めて、言われたなぁ、お前の全てを教えろ、だなんて)』

今まで、自分の事を心配する者は、沢山いたが誰も、聞こうとしなかった
きっと、自分の事を思っているから聞かないんだ、と本人もわかっているつもりだが
もしかしたら、迷惑な事に巻き込まれたくないから
聞かないんじゃないかと思ったこともある

だから、嬉しかった
教えろと言われたのが
目を反らさずに言ってくれたのが



『(久しぶりに、笑ったなぁ)』



あの時、ローがああ言ってくれたから、自分は笑えたんだろう
いつもみたいな、ヘラヘラした笑顔じゃなく
心から、本気の笑顔で



[ニヤニヤして、気持ち悪いなぁ…]



『元々、こんな顔です』



後ろからリサの声が聞こえた
知らず知らずの内に顔がニヤケていたんだろう
振り替えっていつもの顔を見せる



[アホ]



唐突に暴言を吐かれ、アンナは自分のベッドのに潜り込み
眠りについた
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